MiltonMarketsのクロス通貨 × レバレッジ相殺(Cross-Pair Leverage Offset)について

**クロス通貨 × レバレッジ相殺
(Cross-Pair Leverage Offset, CPLO)**は、
複数の通貨ペアに分散された高レバレッジ・ポジションが、
表面上は相殺されて見えても、ストレス時には同時崩壊する構造的リスク
を説明するモデルです。

一見すると
「USD/JPY ロング × EUR/USD ショート = ドル中立」
のように見えますが、
レバレッジ・証拠金・流動性の観点では相殺されていない
という点が核心です。


目次

1. 何を「相殺」しているつもりなのか

表面的な相殺

  • 通貨エクスポージャー(Δ)
  • 名目USDリスク
  • 日次リターン相関

👉 平常時の統計的中立


2. なぜレバレッジは相殺されないのか

実務上の現実

  • 証拠金はペア別
  • 清算・ストップは同時
  • 流動性は同時に消える

👉 制約は相関する


3. 基本因果ループ(核心)

複数通貨ペアで高レバ構築
 ↓
表面上はΔ中立
 ↓
一つのマクロショック
 ↓
全ペアでボラ上昇
 ↓
証拠金・スプレッド同時拡大
 ↓
全ポジションが同時に資本圧迫

👉 相殺されるのは「方向」だけ


4. 数理的視点

名目 vs 制約

  • 名目リスク:

iΔi0\sum_i \Delta_i \approx 0i∑​Δi​≈0

  • レバレッジ制約:

iLi    (相殺不可)\sum_i L_i \;\;(\text{相殺不可})i∑​Li​(相殺不可)


実効レバレッジ

Leff=iViEL_{\text{eff}} = \frac{\sum_i |V_i|}{E}Leff​=E∑i​∣Vi​∣​

👉 クロスしても
絶対値は足し算


5. 相関の崩壊(Correlation Breakdown)

平常時

  • 通貨ペア間に分散

ストレス時

  • USD一極化
  • リスクオフ同時変動

👉 相関 → 1


6. スプレッド・流動性の同時劣化

  • ロンドン・NY同時薄化
  • クロス通貨で板引き

👉 逃げ道がない


7. 実例

① 2008年

  • キャリートレード全面巻き戻し

② 2020年3月

  • USD資金逼迫
  • 全ペアでスプレッド拡大

③ SNBショック(2015)

  • EUR関連全滅

8. なぜ「相殺モデル」が誤解されるか

誤解

  • 相関が低い=安全
  • Δがゼロ=レバ不要

現実

  • 制約は共通
  • レバは足し算

9. CPLOの危険指標

① レバ集中度

LCI=iViE\text{LCI} = \frac{\sum_i |V_i|}{E}LCI=E∑i​∣Vi​∣​

② 通貨因子集中

  • USD / JPY / EUR 依存度

③ 同時証拠金上昇率


10. 回避設計(正しい相殺)

① 証拠金ベース相殺

  • クロスでなく同一清算単位

② 時間分散

  • エントリー時刻ずらし

③ レバ予算制

iLiLtotal\sum_i L_i \le L_{\text{total}}i∑​Li​≤Ltotal​


11. 他モデルとの接続

モデル接続点
ボラ×レバ同時ボラ上昇
スプレッド弾性全ペア拡大
流動性真空通貨市場でも発生
グリッド圧縮複数ペア同時

12. 核心まとめ

  • クロスは方向を消すだけ
  • レバレッジは消えない
  • 危機時、相関は意味を失う
  • 本当に相殺すべきは制約

実務家の一文

クロスで相殺できるのは“見た目”だけ。
清算は常に“合算”でやってくる。

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