MiltonMarketsのレバレッジ × ボラティリティクラスタリングについて

レバレッジ × ボラティリティクラスタリングは、
金融市場の不安定性を理解するうえで最も重要な結合テーマの一つです。
これは単なる統計的性質ではなく、レバレッジ行動がボラティリティを「作り」、
そのボラがさらにレバレッジ行動を歪める
という内生的循環構造を指します。

以下、直感 → 数理 → 動学 → 危機 → 実務の順で詳しく解説します。


目次

1. ボラティリティクラスタリングとは何か(前提)

定義

  • 大きな値動きの後には大きな値動きが続きやすい
  • 小さな値動きの後には小さな値動きが続きやすい

数理的特徴

  • リターンは無相関
  • 二乗リターン・絶対リターンは自己相関

GARCH型で記述される性質。


2. なぜ「レバレッジ」が重要なのか

古典的説明の限界

  • ニュース到来説
  • 情報の持続性

👉 なぜボラが“まとまって”出るかを説明しきれない。


3. レバレッジが作るボラティリティ(核心)

基本ループ

低ボラ環境
 ↓
リスク指標低下(VaR↓)
 ↓
レバレッジ拡大
 ↓
ポジション肥大
 ↓
小ショックでも価格影響大
 ↓
ボラティリティ上昇

👉 低ボラが高ボラの原因になる


4. レバレッジ制約とクラスタリング

VaR制約の例

VaRt=Ltσtz\text{VaR}_t = L_t \cdot \sigma_t \cdot zVaRt​=Lt​⋅σt​⋅z

制約:LtKσtL_t \le \frac{K}{\sigma_t}Lt​≤σt​K​

含意

  • σtLt\sigma_t ↓ \Rightarrow L_t ↑σt​↓⇒Lt​↑
  • σtLt\sigma_t ↑ \Rightarrow L_t ↓σt​↑⇒Lt​↓(強制)

強制デレバレッジ

  • ボラ上昇
  • 一斉売却
  • 価格変動が持続

👉 高ボラ状態が続く


5. 数理モデルでの表現

レバ内生型GARCH(概念)

σt2=ω+αrt12+βσt12+δLt12\sigma_t^2 = \omega + \alpha r_{t-1}^2 + \beta \sigma_{t-1}^2 + \delta L_{t-1}^2σt2​=ω+αrt−12​+βσt−12​+δLt−12​

  • Lt1L_{t-1}Lt−1​:前期レバレッジ
  • レバがボラを直接押し上げる

フィードバック構造

Lt=f(σt1),σt=g(Lt1)L_t = f(\sigma_{t-1}) \quad,\quad \sigma_t = g(L_{t-1})Lt​=f(σt−1​),σt​=g(Lt−1​)

👉 相互依存


6. レバレッジ効果(Leverage Effect)との違い

項目レバレッジ効果本テーマ
内容価格下落→ボラ↑レバ行動→ボラ持続
主体企業財務市場参加者
時間軸短期中期〜長期
本質非対称性内生循環

※ 名前が似ているが別概念


7. クラスタリングが「崩壊」に変わる瞬間

臨界条件

  • 高レバ状態
  • 流動性低下
  • 証拠金引き上げ

この三つが揃うと:

👉 ボラティリティ・クラスタリング → ボラティリティ爆発


8. 実例

2008年

  • 低VIX長期化
  • レバ拡大
  • 小ショック → 高ボラ長期化

2020年3月

  • リスクパリティ・VaR戦略の同時縮小
  • ボラが「塊」で出現

9. 実務的な示唆

危険サイン

  • ボラ低下 × 建玉増加
  • VaR感応度の上昇
  • 類似戦略の集中

対策

  • レバをボラの逆数でなく
    ボラ × 流動性で制御
  • レジーム依存パラメータ
  • マイクロヘッジ併用

10. 理論的な位置づけ

  • GARCH:結果を記述
  • レバ×ボラモデル:原因を説明

👉 クラスタリングは
統計現象ではなく行動の集積結果


まとめ(核心)

  • ボラは「外から来る」のではない
  • レバレッジ行動がボラを作る
  • 低ボラは最も危険な状態
  • クラスタリングは市場の記憶

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