**インターバンクスプレッド・アービトラージ
(Interbank Spread Arbitrage)**は、
同一(または理論的に同一)資産が、異なる市場・流動性源・ブローカー間で一瞬だけ異なるスプレッド/価格を示す歪みを高速で抜き取る、最上位クラスの裁定取引モデルです。
- スプレッド弾性
- ティック加速度
- 流動性真空
- クロス相殺
の原点かつ最難関に位置します。
以下、構造 → 数理 → 実装 → 崩壊点 → 現実的限界の順で詳しく解説します。
目次
1. インターバンクスプレッドとは何か
インターバンク市場
- 大手銀行(Tier1)
- プライムブローカー(PB)
- ECN(EBS / Reuters Matching 等)
ここでは:
- 理論上は最小スプレッド
- だが実際には
- 流動性供給源の違い
- 更新遅延
- 在庫調整
により瞬間的な歪みが生じる。
スプレッド歪みの例
Venue A : EUR/USD 1.10000 / 1.10001
Venue B : EUR/USD 1.10002 / 1.10003
👉
- Aで買い
- Bで売り
が理論上ノーリスク
2. インターバンク・アービトラージの本質
本質は「価格」ではない
❌ 方向性
❌ 予測
✅ 時間差・更新差・流動性差
なぜ成立するのか
- 価格更新は非同期
- 各銀行は自分の在庫を優先
- ECNは中央値を保証しない
👉 完全同期は不可能
3. 基本構造(2レッグ裁定)
高速価格取得
↓
スプレッド差検知
↓
同時2レッグ発注
↓
瞬時決済
重要なのは
「差を見てから考える」では遅い
→ 差が出る前に構えている
4. 数理的定式化(簡略)
裁定条件
BidB−AskA>C
- C:
- 手数料
- 滑り
- レイテンシ
- 失敗確率
期待値
E[Π]=p⋅(ΔS−C)−(1−p)⋅L
- p:両レッグ同時成功確率
- L:片約定損失
👉 p < 0.99 なら成立しない
5. 実装要件(現実)
① レイテンシ
- 同一データセンター(LD4 / NY4)
- 光回線・クロスコネクト
- 往復 < 1ms
② データ
- ブローカー配信価格 ❌
- 生インターバンクフィード(FIX) ✅
③ 執行
- FOK / IOC
- 内部マッチング不可
- STP / DMA 必須
6. なぜ個人がほぼ勝てないか
ブローカー側の視点
- アービトラージ = 逆選択
- ブローカーは:
- リクオート
- 約定拒否
- 利益没収
を行う
👉 多くの約款で明示的禁止
7. アービトラージ崩壊点
(1) レイテンシ逆転
- 相手の方が速い
- 常に悪い側を掴まされる
(2) 流動性消失
- 片側が消える
- 片足だけ約定
(3) レバレッジ増幅
- 小利益 → 高レバ
- 一度の失敗で全損
8. 流動性真空との関係
インターバンク歪みは
真空の前兆であることが多い。
更新遅延
↓
歪み拡大
↓
板撤退
↓
真空
👉 最初に儲かるが、最後に死ぬ
9. 「合法的」代替モデル
個人・小規模向けには以下が現実的:
① 擬似インターバンク裁定
- 同一ブローカー内
- 複数LP間の歪み
② 時間差裁定(Latency Drift)
- 先行市場 vs 遅行市場
- レバ制御必須
③ クロス通貨理論裁定
- 三角裁定
- 速度要求が相対的に低い
10. 他モデルとの統合位置
| モデル | 関係 |
|---|---|
| スプレッド弾性 | 歪みの発生源 |
| ティック加速度 | 裁定崩壊直前 |
| 流動性真空 | 終焉 |
| CPLO | 多市場同時崩壊 |
11. 核心まとめ(重要)
- インターバンク裁定は
理論上は無リスク - 実務上は
レイテンシ勝負 - 勝者は
銀行・HFT・PB - 個人は
近づきすぎると危険
実務家の一文(本質)
アービトラージは「見えた時点で終わっている」。
勝つのは、それを最初から知っている者だけだ。
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