IS6FXのマイクロタイムスプ合成(Micro Spread Synthesis)について

以下では、FXのマイクロタイムスプ合成(Micro Spread Synthesis) について、
“どういう手法なのか → 何を合成するのか → 実践ロジック → 必要ツール → 注意点” まで、
プロレベルの深度で体系的に解説します。


目次

🔍 マイクロタイムスプ合成(Micro Spread Synthesis)とは?

一言で言うと:

数ミリ秒〜数十ミリ秒という“マイクロタイム(超短時間)における
スプレッドの変動情報を複数統合(合成)し、
価格の直近方向性・LP遅延・流動性の穴を先読みする手法。

別名:

  • マイクロスプレッド解析
  • ミリ秒スプ合成
  • LPマイクロ挙動モデリング
  • High-frequency spread synthesis

など。

一般のスプレッド分析と違い、


🧠 なぜ「合成(Synthesis)」が必要なのか?

スプレッドは一枚の値ではなく、
多数LPの“瞬間瞬間の異なる見積り”の統合結果です。

そのため、ミリ秒単位では以下が発生します:

  • LPごとにスプレッドが異なる
  • 更新タイミングもズレる
  • 一瞬だけ異常に狭いスプ/広いスプが混在
  • 一部LPが遅れてPrice配信(遅延レート)
  • 板が抜けて「スプだけ跳ねる」現象

これらを“単一スプレッド値”だけで見ると、
重要な情報が 消失 します。

そこで、

ミリ秒レベルのスプTickを分解 → 再構築 → 合成
して、価格の未来方向を推定する

これが Micro Spread Synthesis です。


🧩 合成する3種類のスプレッド情報

マイクロスプ合成では、
主に以下の3つを“時間軸で合成”します。


Raw Spread(生スプレッド)

Tickで受信する未加工のスプ。

例:
0.2 / 0.4 / 1.5 / 0.3 などミリ秒ごと。


LP-Weighted Spread(LPウェイトスプ)

内部でどのLPが提供したかによって重み付け。

例:

  • LP1:狭いスプだが遅延気味
  • LP2:広いスプだがリアルタイム
  • LP3:変動激しいが高頻度

→ 合成して“本来のスプレッド状態”を推定。


Temporal Slope Spread(時間勾配スプ)

“スプ変化の傾き”
=ミリ秒レベルで広がり→戻りの勢い。

これは後述の売買シグナルの主軸になります。


📈 マイクロタイムスプ合成の目的

目的は2つです。


🎯 ① LP遅延による近未来の価格方向を推測

LPの挙動シーケンスから:

  • まだ価格に反映されていないBid/Askの偏り
  • スプレッドだけ先に動く“準備動作”
  • 遅れて来る価格反応(遅延レート)

これらを予測可能。

これは スプレッド遅延戦略の上位互換


🎯 ② スプレッドの“内部構造”からトレンドの質を判定

例えば:

  • スプ拡大 → 収束 → 再拡大
    このリズムは“流動性崩壊前の波”
  • 拡大 → 即収束 → bid側のみ薄い
    短期上昇の初期合図
  • ask側のLPだけ連続で切れる
    上方向の負荷増 → 上昇前兆

など、「現れる前の動き」を察知できる。


🔬 マイクロタイムスプ合成の技術的ロジック(簡易)


🔸 ① ミリ秒単位のスプTickを取得

例(1秒間に10〜50Tickなど):

Time(ms)   Bid   Ask   Spread
00         155.200 155.202  0.2
03         155.199 155.204  0.5
06         155.198 155.210  1.2
12         155.199 155.203  0.4
...

🔸 ② LP単位のスプを抽出(可能なら)

できるブローカー・プラットフォームであれば:

  • LP1スプ
  • LP2スプ
  • LP3スプ

を別々に取得。

無理なら「スプ更新頻度」から疑似推定する。


🔸 ③ 時間方向に合成(Synthesis)

代表的な合成式:

(A) 時間重み平均(Time-Weighted Spread)

STWS(t)=i=1nwiSpreadii=1nwiS_{TWS}(t) = \frac{\sum_{i=1}^{n} w_i \cdot Spread_i}{\sum_{i=1}^{n} w_i}STWS​(t)=∑i=1n​wi​∑i=1n​wi​⋅Spreadi​​

(直近100msほどを対象)
重みは “新しいTickほど大きく”。


(B) 微分スプ(Spread Velocity)

Vs=Spread(t)Spread(tΔt)V_s = Spread(t) – Spread(t-\Delta t)Vs​=Spread(t)−Spread(t−Δt)

“拡大速度・縮小速度”を数値化。


(C) LP相関スプ(LP-Correlation Spread)

LPの表示タイミングのズレを計測し、

  • ask側LPが遅れる → 上昇前兆
  • bid側LPが遅れる → 下落前兆

などを抽出。


🧭 得られる売買シグナル例

合成後に得られる“定量シグナル”は以下のようなもの。


📌 ① Ask側のみ連続で優勢 → 買い

(LP遅延+ask偏り+微分スプ上昇)


📌 ② Spread velocity(スプ速度)が拡大 → 収束で逆張り

拡大 → 一瞬の天井底 → 収束で反発、のパターン。


📌 ③ 広がり方が歪(bid側だけ消える) → 上方向への圧力

bid板不足 → ロング有利。


📌 ④ スプが“分散拡大 → 一点集中型縮小” → その方向へ順張り

LPが一斉に同方向へ流動性を寄せた合図。


実際のトレード戦略での活用


🏹 ① スキャルピング(最強)

  • 時間:数百ms〜数秒
  • 利幅:0.8〜5pips
  • タイミング:微細スプ収束 or LP偏り

🧲 ② スプレッド遅延戦略の精度向上

スプ先行 → レート後追い
のパターン判定がより高精度になる。


🔁 ③ 分散エントリー調整(ロット配分をスプに合わせる)

スプ状態に応じてロット比率を変える高度版。


🧩 必要な環境


必須

  • Tick-by-Tickデータ
  • ミリ秒更新に対応したプラットフォーム
  • ECN(DMA)のスプレッド
  • 遅延の少ないVPS(1〜5ms)

あると最強

  • LP別のスプ可視化ツール
  • スプレッド勾配(微分)表示インジケータ
  • スプ変化連続カウンタ
  • マイクロスプのAIフィルタ

注意点(重要)

  • LP遅延が本物の“トレンド発生”の前兆であることもある
  • 異常スプはノイズが多い
  • ブローカーの内部仕様に依存する
  • マイクロスプは“逆張り”にも“順張り”にも作用しうる
  • 中級者が扱うと情報過多で判断ミスしやすい

📘 まとめ(要点)

項目内容
手法名マイクロタイムスプ合成(Micro Spread Synthesis)
範囲ミリ秒レベルのスプレッド変動を時間方向に合成
狙いLP遅延/流動性の偏り/価格の未来方向の察知
特徴スプを “単体値 → 情報集合体” として扱う
活用高速スキャル/遅延戦略/分散ロット制御
必須環境ECN・高速VPS・Tickデータ

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