以下では、“スプレッド階段(Spread Ladder)読み取り戦略” を、
“定義 → 仕組み → 観測パターン → エントリー → 実例 → EA化 → リスク”
までプロトレーダー向けに体系的に解説します。
🔍 スプレッド階段(Spread Ladder)とは?
一言でいうと、
スプレッドが “段階的” に広がったり狭まったりする
“階段状(ステップ状)変化” を読み取り、
流動性変化の先行シグナルとして使う戦略。
つまり、
- 0.2 → 0.3 → 0.4 → 0.6 → 0.9 …
- もしくは
- 1.2 → 1.0 → 0.8 → 0.6 …
のように、
連続した段階的変動(ステップアップ・ダウン) が発生するとき、
流動性構造や市場参加者の動きが変化している証拠となる。
この「段階」を読むことで、
- ブレイクの準備
- トレンドの初動
- 吸収(吸われ)動作
- LP(流動性プロバイダ)の板配置変化
- インパルス前の“布石”
を先に察知する戦略が Spread Ladder Strategy です。
🧠 なぜスプレッドが階段状になるのか(本質)
スプレッド階段はランダムに起こるのではなく、
市場構造の“段階的変化”を反映しています。
✔ ① LP(流動性プロバイダ)の板が「段階的に薄くなる」
流動性は均等に減るのではなく、
- あるレベルが消える
- 次のレベルが消える
- さらに消える…
という 階段状の抜け方 をする。
✔ ② 大口注文が“分割吸収”されている
市場は一気に吸われることもあるが、
- 100万通貨
- 70万通貨
- 30万通貨
と「段階的に消える」ことも多い。
→ スプレッドも同じように階段状アップ。
✔ ③ LPがクォートを段階で縮小(“防衛ライン撤退”)
大口の流入やブレイクの可能性が高まると
LPはリスクを抑えるために 階段的に板を引く。
→ スプが段階的に広がる。
✔ ④ トレンド準備の“流動性の段差”
ブレイク前は、
流動性が均質に減るのではなく 段差を持って崩壊 していく。
→ これを読み取るのが本戦略。
📊 スプレッド階段の3大パターン
🟦 ① 上向き階段(Ladder Up:スプ拡大階段)【ブレイク前兆】
0.2 → 0.3 → 0.4 → 0.6 → 0.9 …
典型的には:
- Ask側が段階的に飛ぶ → 上昇準備
- Bid側が段階的に飛ぶ → 下落準備
→ 方向の確度が非常に高いシグナル
🟩 ② 下向き階段(Ladder Down:スプ収縮階段)【反転/終了前兆】
1.2 → 1.0 → 0.8 → 0.6 → 0.4 …
これは、
- 流動性が戻ってきている
- 大口の吸収が終わり “平常化” に向かっている
- ブレイク後の調整に入りやすい
という意味。
→ トレンド終了の初期シグナル になりやすい。
🟧 ③ 階段 → フラット → 階段(複合パターン)【最強シグナル】
0.2 → 0.3 → 0.4(階段)
0.4 → 0.4 → 0.5(フラット)
0.5 → 0.7 → 1.0(再階段)
これは、
- 大口が複数レイヤーにまたがって注文
- LPの撤退 → 再撤退
- ブレイク準備が長期化
こういった “多段構造の準備” で
本物のブレイクや大トレンドに繋がりやすい。
🎯 実際のエントリー戦略
🔥 ① 上向き階段 → ブレイク方向へエントリー(最も基本)
Askが段階的に跳ねる
→ 上方向ブレイクが極めて近い
→ ロング
Bid階段
→ 下落ブレイク
→ ショート
階段が3段以上連続したらブレイク確率が急上昇する。
🔥 ② 階段 → 一時収束 → 再階段(再加速)でエントリー
これは“ブレイク直前の溜め”を表す。
- 一度スプが広がる
- 平常近くまで戻る
- そこから再度階段的に広がる
→ デカいトレンドの前兆。
🔥 ③ 階段収束(Ladder Down)後の反転狙い
1.0 → 0.8 → 0.6 → 0.4 → 0.3
これは、
- 大口の連続注文が終わる
- 流動性が戻る
- ブレイク後の調整
を示すため、反転スキャルに使える。
🧪 スプレッド階段の“強度判定”
強い階段の特徴:
✔ 3段以上続く
✔ 段差幅が徐々に広がる(0.2 → 0.3 → 0.5 → 0.9)
✔ 価格がまだ動いていない(=遅れてブレイクする証拠)
✔ スプだけが変化している
✔ Ask/Bidどちらが主体かがハッキリ
弱い階段:
✖ スプの上下がランダム
✖ スプの戻りが早すぎる
✖ 通常のブローカーの“ノイズ階段”
📘 実例(USDJPY)
通常スプ:0.2pips
観測:
0.2 → 0.3
0.3 → 0.4
0.4 → 0.6
(階段開始)
→ この時点で Ask側だけが飛んでいる
0.6 → 0.8
0.8 → 1.1
(本格階段)
→ 上ブレイクの準備完了
エントリー:
Ask側の階段が一段落したタイミングで ロング
結果:
高値ブレイク
→ 5〜20pipsの波に繋がりやすい。
⚙ EA化ロジック
EA化するときの主要条件:
✔ スプの連続成長を判定
Spreadn>Spreadn−1+Δ
✔ Ask or Bid の片側が主体
(方向性の確定)
✔ 階段回数が3回以上
✔ 階段スピードを計測
(時間間隔が短いほど強い)
✔ 直近高値/安値が近いかチェック
(ブレイク準備の証拠)
⚠ リスク(注意点)
❌ 階段が“ノイズ”の場合
特にDD型ブローカーでは偽階段が頻発。
❌ 指標直前の階段は読めない
LPが撤退するだけでブレイクの方向性は不明。
❌ 階段が長すぎると“枯れた市場”になり逆に動く
(例:長期停滞 → 逆噴射)
❌ 約定力が低いとエントリーが遅れて負ける
📌 まとめ(要点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手法名 | スプレッド階段(Spread Ladder)戦略 |
| 基本 | スプの段階的変化を読み取り流動性の偏りを先読み |
| 強み | 価格より先に“ブレイク準備”が見える |
| 主な狙い | ブレイク、加速、反転の先読み |
| 必須環境 | ECN、Tick監視、低遅延 |
| 主な危険 | ノイズ階段、指標階段、偽方向 |


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