TradersTrustの統計的ナンピン・リバランスについて

**統計的ナンピン・リバランス(Statistical Averaging & Rebalancing)**は、
一般に嫌われがちな「ナンピン」を、
👉 **確率論・分布・期待値の管理下に置いた“全く別物”**として扱う高度手法です。

これは
❌ 感情ナンピン
❌ 祈りの平均化
とは完全に別体系です。


目次

1. 統計的ナンピン・リバランスとは

一言定義

価格変動が統計的分布の範囲内にある限り、
想定された間隔・数量・最大曝露の中で段階的にポジションを再配分し、
平均回帰または構造回復を取りに行く手法

ポイントは

  • 入る前に全シナリオが決まっている
  • 最大損失が最初から確定している

👉 「負けたから足す」ではない。


2. なぜ“統計的”でないナンピンは死ぬのか

感情ナンピンの正体

  • エントリー否定を認められない
  • 分布を無視
  • トレンド転換を想定していない

👉 分布の外=即死


3. この手法が成立する前提条件

必須条件(これが一つでも欠けたらNG)

  1. 平均回帰性が確認できる市場
    • レンジ
    • ボラティリティクラスタ
    • 上位足でのサポレジ内
  2. 分布(σ)が測定できる
    • ATR
    • ボラティリティ
    • 過去N期間の変動幅
  3. 最大逸脱が有限
    • ファンダなし
    • 指標イベント外

👉 トレンド初動では絶対に使わない


4. ナンピンではなく「リバランス」と呼ぶ理由

構造の違い

感情ナンピン統計的リバランス
無限に足す上限が決まっている
価格だけ見る分布と確率を見る
損切りが曖昧強制終了点が明確
方向を信じる歪みを利用する

👉 主役は価格ではなく“曝露量”


5. 基本構造(3レイヤー)

① 初期ポジション(軽い)
② 統計トリガーで再配分
③ 分布外で全撤退

6. 価格間隔の設計(核心①)

間隔は「感覚」ではなくσ

例(BTC):

  • 1H ATR = 0.8%

設定:

  • 1σ ≒ 0.8%
  • 2σ ≒ 1.6%

👉 ナンピン間隔:

  • 0.8%ごと
  • 最大2回まで

7. 数量配分の設計(核心②)

絶対NG

  • 倍プッシュ
  • 指数的増加

推奨

  • 均等 or 逓減

例:

  • 初回:40%
  • 2回目:35%
  • 3回目:25%

👉 後半ほど軽くする


8. 最大曝露(核心③)

事前に必ず決める

  • 最大ロット
  • 最大DD

例:

  • 口座リスク:3%
  • 最大ナンピン:2回

👉
3回目は「入らない」選択も含めて設計


9. 撤退条件(最重要)

以下のどれかで全撤退

  1. 3σ超の逸脱
  2. 上位足構造の否定
  3. 出来高分布の変質
  4. ファンダ発生

👉
部分撤退なし・躊躇なし


10. 利確ロジック

基本

  • 加重平均価格 ± α
  • VWAP回帰
  • 分布中央値

👉 「建値に戻ったらOK」は誤り
必ず統計的目標を持つ。


11. 勝率・期待値の現実

  • 勝率:70〜90%
  • ただし:
    • 1回の失敗が重い
    • テールリスクが存在

👉
勝率ではなく「破綻確率」を管理する手法


12. 併用されることが多いフィルター

  • ボリューム異常(前に話した手法)
  • VWAP乖離
  • 時間帯フィルター
  • イベント除外

13. この手法が向いている人

  • 数学的思考ができる
  • 「損切り=敗北」ではない
  • 事前ルールを絶対視できる

14. 最大の誤解

「統計的なら安全」

❌ 完全に誤り。

正しくは:

「破綻確率を定量化して、受け入れている」


核心まとめ

統計的ナンピン・リバランスは
ナンピンの皮を被った“リスク管理手法”

そして本質は:

勝つために足すのではない
生き残るために配分する

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