MiltonMarketsのマーケット・プロファイル × スプレッド戦略について

マーケット・プロファイル × スプレッド戦略は、
👉 **「価格がどこで合意されたか（価値）」**と
👉 「どこで歪みが出ているか（スプレッド）」
を組み合わせる、裁量とアルゴの中間に位置する高度な戦略です。

以下では、理論 → 構造 → 具体戦略 → 実装・注意点の順で詳しく解説します。

1. マーケット・プロファイル（MP）の本質

MPは何を測っているか

マーケット・プロファイルは
「価格 × 時間」＝市場参加者の合意点
を可視化する手法です。

重要な構成要素

用語	意味
POC	最も滞在時間が長い価格（最大合意点）
VAH	Value Area High（価値上限）
VAL	Value Area Low（価値下限）
Value Area	全取引の約70%が集中

👉 価格は「価値」に回帰しやすい

2. スプレッド戦略と組み合わせる意味

スプレッドの正体

Bid–Ask スプレッド
公正価格（POC近傍）からの乖離
マイクロプライス − 約定価格

なぜ相性が良いか

MP → 「どこが正常か」
スプレッド → 「今どれだけ歪んでいるか」

👉 基準点 × 歪み量 = 高確率トレード

3. 基本構造（全体像）

① 価値の中心（POC / VA）を特定
② 価格が価値外へ拡散
③ スプレッド or 板が歪む
④ 価値回帰方向へエントリー

4. 代表的な戦略パターン

① POCリバージョン × スプレッド拡大

条件

価格がVA外（VAH上 / VAL下）
スプレッドが通常より拡大
ティックインバランス極端

エントリー

VA外 → 価値方向へ逆張り

エグジット

POC到達
スプレッド正規化

👉 最も王道・勝率高め

② VAブレイク失敗 × スプレッド収束

状況

VAHを一時的にブレイク
追随出来高がない
Askが薄くスプレッド拡大

戦略

ブレイク失敗＝フェイク
VA内へ戻る方向にエントリー

③ シングルプリント × スプレッド歪み

シングルプリントとは

MP上で一度しか通過しなかった価格帯
流動性が薄い＝不安定

使い方

シングルプリント突入時
- スプレッド拡大
  → 高速反転狙い

④ イニシャルバランス（IB）× スプレッド

IB

セッション開始直後の価格レンジ

応用

IB外でスプレッド急拡大
価値形成前の歪み
→ 初動逆張り or 追随判断

5. スプレッドの具体的測定方法

① 統計的スプレッド

$Z = \frac{Spread – \mu}{\sigma}$ Z=σSpread−μ

Z > 2 → 異常

② 公正価格乖離

$FairPrice = POC \pm \alpha \times ATR$ FairPrice=POC±α×ATR

③ マイクロプライス乖離

$Deviation = TradePrice – Microprice$ Deviation=TradePrice−Microprice

6. エントリー条件のテンプレ

if price > VAH
and spread_z > 2
and tick_imbalance > 0.7
then short (target = POC)

7. トレード管理（重要）

利確

POC
VA内復帰
スプレッド中央値

損切り

価値再定義（POC移動）
出来高伴うブレイク

8. トレンド判別フィルター

状況	対応
POC横ばい	逆張り有効
POC連続移動	逆張り禁止
VA拡張	ブレイク重視

9. 日本市場（日経225先物）での実戦ポイント

寄り付き30分は価値未確定
夜間のPOCは軽視しすぎない
SQ前後はMP崩れやすい

10. よくある失敗

POCを「絶対価格」と誤解
トレンド日で逆張り
スプレッドだけ見て価値を無視

11. 高度化アイデア

Volume Profile（TPO×出来高）
日跨ぎPOCクラスタ
板復元速度 × VA
機械学習で反転確率

12. まとめ（本質）

マーケット・プロファイルは「地図」
スプレッドは「今の歪み」
優位性は「歪みが価値へ戻る瞬間」