IFC Marketsのマルチタイムフレーム × レバレッジ変動制御について

**マルチタイムフレーム（MTF）分析 × レバレッジ変動制御（Dynamic Leverage Control）**について、
プロのシステムトレーダー・CTA（商品投資顧問）・HF（ヘッジファンド）が実務で使うレベルで体系的に解説します。

🔶 1. マルチタイムフレーム × レバレッジ制御とは？

簡単にいうと：

「複数の時間軸から得られるトレンド優位性の“強さ”や“一致度”に応じて、
レバレッジを動的に変化させるリスク管理システム」

ということ。

🔶 2. なぜ MTF × レバ変動制御が重要なのか？

理由は明確：

✔ ① 市場の“本流（長期）”と“波（短期）”を同時に評価できる

単一時間軸ではレバ判断が鈍る。

✔ ② 長期優位 × 短期加速＝レバ最大化ポイント

もっとも安全にレバを上げられる瞬間。

✔ ③ 長期逆行 × 短期逆流＝レバ削減ポイント

逆ピラミッディングとの親和性が高い。

✔ ④ レバ制御が結果的にドローダウン（DD）を劇的に抑える

“本流に逆らうレバ”を強制的に下げるため、生存率が上がる。

🔶 3. MTFレバ制御の基本構造

MTFでの代表的なタイム軸組み合わせ：

週足（W1）＝大局・レジーム
日足（D1）＝主トレンド
4H or 1H ＝エントリーの強弱
15M or 5M ＝短期の加速・ブレイク

🔶 4. “トレンド一致度”を数値化してレバを決定する

以下のように、各時間軸のトレンド方向を数値で表す。

例（+1＝上昇、−1＝下降）：

時間軸	判定	値
週足	上昇	+1
日足	上昇	+1
4時間	上昇	+1
1時間	上昇	+1

合計：+4 → レバ最大

逆に：

週足 ↑
日足 ↓
4時間 ↓
1時間 ↓

= −2 → レバ縮小（逆ピラ方向）

🔶 5. MTFレバ変動の数式モデル（実務）

▼トレンド優位スコア

S = Σ wᵢ × Tᵢ

Tᵢ = 各時間軸のトレンド（+1, −1, 0）
wᵢ = ウェイト（長期ほど大きく）

例：
W1 = 0.4
D1 = 0.3
H4 = 0.2
H1 = 0.1

合計1.0になる。

▼レバレッジ関数

Leverage = L_min + (L_max - L_min) × (S + 1) / 2

例：

L_min = 0.5倍
L_max = 5倍

スコア S=+1 → レバ5倍
S=0 → レバ2.75倍
S=−1 → レバ0.5倍（ほぼ撤退）

MTF判断がレバを動かす合理的モデル。

🔶 6. ATR（またはVol）と組み合わせた“二重レバ制御”

プロは必ず 価格変動（ATR） と組み合わせる。

✔ レバレッジ最終式

Leverage_final = Leverage_MTF × (ATR_base / ATR_now)

意味：

ボラが上がったらレバ自動減少
ボラが下がったらレバ自動増加

→ MTF方向性 × ボラティリティ
の“二重フィルター”。

🔶 7. 実務フロー（プロトレーダーがやっていること）

Step ① 週足と日足でレジーム判定（大枠）

W1、D1 の両方が上＝上昇レジーム
両方が下＝下降レジーム
逆＝レバ制限

Step ② 4H/1Hでモメンタムの強さを見る

移動平均傾き
MACDヒストグラム
RSI割れ/突破
など。

Step ③ 時間軸ごとに +1 / −1 を判定

例：

週足：+1  
日足：+1  
4時間：-1  
1時間：-1

W1/D1はアップだが短期は調整 → レバを落とす。

Step ④ スコア → レバ変動

例：
スコア S = +0.2
→ レバ = 3倍 → 可

スコア S = −0.5
→ レバ = 1.5倍以下に抑える

Step ⑤ ATRチェック

短期ATRが急増 → レバ急減
短期ATRが低下 → レバ回復（ただしMTF方向が条件）

🔶 8. MTF × レバ調整の“黄金ルール”

✔ 長期順行 × 短期加速

→ 最大レバ
→ “優位性の二重シグナル”

✔ 長期順行 × 短期逆行

→ レバ半分
→ 押し目の可能性だが安全面で縮小

✔ 長期逆行 × 短期逆行

→ レバ最小（逆ピラ）
→ 模様替えの本格DD

✔ 長期逆行 × 短期順行

→ とにかくレバ抑制
→ “罠の反発”。危険。

🔶 9. 他の戦略との相性

✔ 逆ピラミッディング

含み損方向はレバが自然に落ちる
→ MTF方向の一致も悪化 → レバさらに減る
非常に安全性が高い

✔ ピラミッディング

長期順行 × 短期加速時にレバ最大化できる
→ エントリー・追加のタイミングに最適

✔ GeWorko（合成商品）

複数銘柄の相対強弱をMTFで評価できる
→ レバ最適化と相性抜群

🔶 10. 実際に使える“MTFレバレッジテンプレート”

▼レバ調整早見表（プロ仕様）

状況	週足	日足
強気MAX	↑↑↑↑	5.0倍
強気中	↑↑↑↓	3.5倍
中立	↑↓↑↓	2.0倍
弱気中	↓↓↓↑	1.0倍
弱気MAX	↓↓↓↓	0.5倍（撤退）

🔶 11. まとめ（要点）

要素	内容
目的	MTFの優位性に応じてレバを動的制御し、生存率と利回りを最大化
核心	長期と短期の“トレンド一致度”を数値化
方式	L = f(MTFスコア×ボラ調整)
効果	ドローダウン半減・レバ管理の自動化
相性	ピラ／逆ピラ、GeWorko、ヘッジ構造と相性最良