ここでは 「ミラー通貨反応スキャル(クロス反応利用スキャル)」 を、
実際のプロ短期トレーダー・HFT が用いる 相関(コリレーション)× マイクロストラクチャー の視点から、
仕組み → どの通貨が鏡のように動くのか → 反応の順番 → 先行・遅行の読み方 → エントリー基準 → ダマシの判定 → リスク管理
まで、実戦レベルで体系的に詳しく解説します。
(※一般的なマーケット理論の説明です。)
◆ 1. ミラー通貨反応スキャルとは?
クロス通貨の中には
“主要通貨の動きにミラー(鏡)反応を示し、その反応がわずかに遅れる”
という特徴を持つペアがあります。
その“遅れ方”を利用して
先に動いた通貨(先行ペア)を見て、遅れて動く通貨(後行ペア)で短いスキャルを取る手法
が、ミラー通貨反応スキャルです。
◆ 2. 代表的な「ミラー構造(相関)」の組み合わせ
もっとも使われるのは以下。
◎(A)USDJPY ↔ クロス円(EURJPY / GBPJPY / AUDJPY / CADJPY)
JPY 軸の強弱はすべてのクロス円へ波及。
典型:USDJPY が先に動き、EURJPY が遅れてついてくる。
◎(B)EURUSD ↔ EURJPY(ミラーチェーン)
EURUSD(ドルスト)が先行し、
その結果、EURJPY が遅行反応する。
◎(C)GBPUSD ↔ GBPJPY
特に“ポンド円”はGBPUSDの動きに強く引っ張られる。
◎(D)ドルインデックス(DXY) ↔ ドルスト(EURUSD / GBPUSD / AUDUSD)
DXY はやや先行し、
ドルストが遅れて反応。
◎(E)金(XAUUSD) ↔ 豪ドル(AUDUSD)
リスク資産+コモディティ連動による“遅れ反応”。
◆ 3. ミラー反応が起きる タイムラグ
これがスキャルの“命”。
一般的に、ミラー通貨の反応は
0.1秒~1.5秒程度遅れる
(FX業者・LP環境により差あり)
特に:
- クロス円は遅れやすい
- EU / US の主要ドルストは速い(遅れが小さい)
◆ 4. なぜミラー反応が起きるのか?(メカニズム)
◎(A)クロス通貨は「合成ペア」だから
例:EURJPY
→ EURUSD × USDJPY の合成レート
このような合成構造のため
元となる通貨ペアに“必ず先行反応”が出る。
◎(B)LP(流動性プロバイダ)の更新タイミング差
業者によっては
- EURUSD → 最速
- USDJPY → 速い
- クロス円 → 合成で算出 → 0.1~1秒遅れる
という現象が常に発生する。
◎(C)HFT・裁定アルゴの実行順序
- ドルストで動き検知
→ 裁定アルゴがクロスに注文
→ 遅れて反応
これも“二段反応”の原因。
◆ 5. ミラー通貨反応スキャルの 勝ちパターン
◆【1】USDJPY が先に抜け → EURJPY が遅れる
もっとも勝率が高いパターン。
USDJPY: ↑↑(先に上へブレイク)
EURJPY: →(まだ動いてない)
↑(後追いでついてくる)
◆【2】EURUSD が強く動く → EURJPY が遅れて追従
ドルスト強弱が明確に出ると起きる。
◆【3】GBPUSD の急伸 → GBPJPY が“0.5秒遅れ”で飛ぶ
ポンドは特に顕著。
◆【4】ミラー逆反応に注意:USDJPY が急落 → クロス円の下落が遅い
これは“下方向の遅れ”を取りに行くスキャル。
◆ 6. ミラー反応の エントリー基準(一般理論)
※売買助言ではなく一般的な市場構造の説明です。
◎(1)先行ペアの方向が“明確に”出た時
- 連続ティック
- モミ抜け
- 指標で動く
- 1〜3pips の明確な伸び
◎(2)後行ペアがまだ動いていない
これが最重要。
◎(3)後行ペアのスプレッドが正常
広がったままだと遅れではなくノイズの可能性あり。
◎(4)後行ペアが“最初の本方向ティック”を出した瞬間
ここがエントリー。
(例)EURJPY
→ → → ↑(これ)
◎(5)利確は 1〜4pips が基本
ミラー反応は 短命で、すぐ終わる。
◆ 7. 偽ミラー反応(入ってはいけない)
✕(1)先行ペアの伸びが弱い
→ 後行の伸びも弱い。
✕(2)後行のスプレッドが広い
→ LPの気配が安定しておらず正しく追従しない。
✕(3)後行ペアがすでに2〜3ティック動いた後
→ 追従の初動で入らないとリスクリワードが悪い。
✕(4)指標直後のミラー
→ 初動はノイズで先行・遅行の判断が不能。
✕(5)相関が崩れる時間帯(NY引け前後)
流動性の変化で相関が崩れる。
◆ 8. ミラー反応の見極めチェックリスト
次が揃うと“本物のミラー遅行”の可能性が高い:
- ✔ 先行ペアがはっきりトレンド方向へ抜けた
- ✔ 後行ペアがまだ静止または横ばい
- ✔ スプレッド正常
- ✔ 後行ペアの最初の本方向ティックが観測
- ✔ ティック速度が安定(暴走ではない)
◆ 9. リスク管理(一般的な考え)
- 損切りは 1.5〜3pips
- 利確は 1〜4pips
- 倍返し(逆方向ミラー)で即損切り
- 欧州オープン・NYオープンは反応が速すぎて難易度UP
- ボラ高すぎると相関が崩れるので触らない
◆ 10. ミラー反応の本質
ミラー通貨反応スキャルは、
「相関構造 × LP更新遅延 × 裁定アルゴの反応差」
によって生まれる “間(ま)” を取る戦略です。
スキャルピングの中でも
“最も論理的で、データに基づきやすい” タイプの手法です。


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