HFM(Hotforex)のスプレッド段崩壊読みについて

「FXのスプレッド段崩壊読み（だんほうかいよみ）」は、
トレーダー間で使われる“俗称的な戦略名”で、正式な金融用語ではありませんが、
実際の市場構造を正しく理解すると明確に説明できる高度なスプレッド戦略です。

これは、

スプレッドが “階段状（段階的）に拡大 → 崩壊（急縮小）する過程” を事前に読み、
崩壊の瞬間に生じる価格正常化（縮小リバウンド）を狙う戦略

です。

以下で、専門家レベルまで体系化して説明します。

🔵 1. スプレッド「段崩壊」とは何か？

通常、スプレッドは滑らかに変化しますが、
海外FX・NDD方式では LP の切り替わりや流動性蒸発により、
以下のような“段階的なスプレッド変化”が起きます。

◆ 段階①：スプレッドが普段より少し広がる（1段目）

Volが落ち、LPが少し引く。

◆ 段階②：さらに広がる（2段目）

流動性が減り、Bid/Askのどちらか片側が薄くなる。

◆ 段階③：最大化（頂点）

ロールオーバー直前や指標前など。

◆ 段階④：一気に正常化（“崩壊”）

LPが戻り、スプレッドが再び狭くなる。

この「段階的拡大 → 急激な縮小（崩壊）」を

事前に読む・仕掛ける → “スプレッド崩壊の圧縮利益”を取る
というのが「スプレッド段崩壊読み」。

🔵 2. なぜ崩壊が読めるのか？（読みポイント）

スプレッド段崩壊は “無秩序なランダム現象” ではなく、
明確な法則性があります。

✔ 順序性のある LP の撤退 → 戻りのパターン

LP（流動性提供者）は各社で提供ロジックが決まっており、

まず小規模 LP が撤退
次に中堅 LP が引き始める
最後に大規模 LP も薄くなる
→ その後 大規模 LP が最初に復帰し、スプレッド崩壊が起きる

この再配信のロジックは
毎日ほぼ同じ時間帯に同じような形で起きるため読める。

✔ ロールオーバー前後の“秒単位の規則性”

例：
HFM、XM、Exness などで

23:59:50〜00:00:03
→ 1段目拡大
00:00:03〜00:00:10
→ 2段目拡大
00:00:10〜00:00:20
→ 最大化
00:00:20〜00:00:40
→ 崩壊（正常化）

という“秒単位の癖”がある。

✔ 指標前後は LP の“段階的引き→一括復帰”

指標10秒前
→ 1段
指標5秒前
→ 2段
指標直前
→ 最大
→ 指標後 LP復帰 “崩壊”

✔ ゴールド・指数は段崩壊の癖が特に強い

XAUUSD、NAS100などはもっと顕著。

🔵 3. 崩壊読みの実践戦略構造

大まかに2つの戦略タイプがあります。

◆ A. 両建て型（安全性重視）

① スプレッドが段階拡大する時間帯直前に Buy/Sell 両建て

→ スプレッド拡大の影響を中和

② 崩壊直前の“不均衡側だけ”を先に解消

（Ask遅延ならBuyを利確、Bid遅延ならSellを利確）

③ 残りの片側はスプレッドが縮小した後に決済し、

損失を最小化する

✔ 結果

圧縮分＋スナップ分だけが利益として残る

これは
「スプレッド前提両建てスナップ」
「逆スプレッド残差」
と同系統の戦略です。

◆ B. 片側アタック型（攻撃的）

① スプレッド最大化 → 崩壊直前のタイミングを読む

LP復帰の瞬間を狙う。

② スプレッド崩壊は通常 “片側触って戻る” 形になる

→ Askが正常化 → Buy 有利
→ Bidが正常化 → Sell 有利

③ 崩壊の戻りの数ティックで1〜3p抜く

（ゴールドなら10p級もある）

✔ リターンは大きいがリスクも最大

🔵 4. なぜ利益になるのか？（理論的背景）

これは完全に次の法則が主導します：

✔ LPの“段階撤退 → 復帰”は再現性が高い

→ 時間帯ごとにパターン化

✔ 崩壊は急速かつ同方向に戻る

→ ミーンリバージョン（平均回帰）が強い

✔ 不均衡が直前に発生しやすい

→ Ask/Bidの片側遅延でミスプライシング発生

この
“段階劣化”＋“一括正常化”
という構造で価格が急回帰するため、
その戻りを刈り取れる。

🔵 5. スプレッド段崩壊が起きる典型シーン

シーン	発生しやすさ
ロールオーバー	★★★★★
指標前後	★★★★★
月末のNY市場クローズ周辺	★★★★☆
アジア早朝（流動性薄）	★★★★☆
ゴールド・指数	★★★★★
マイナー通貨	★★★☆☆

🔵 6. EA化する場合の検出ロジック例

✔ スプレッド階段モデル

直近5ティックのスプレッド増分を追跡
スプレッド拡大速度（ΔSpread）

✔ LP遅延検知

Bid速度とAsk速度の非対称性
（ΔBid/ΔAsk）

✔ ミーンリバージョン予測

LP復帰タイミングの統計
直近n日の癖

✔ 崩壊確率が閾値以上でエントリー

→ 単独ポジ or 両建て

これは完全にアービトラージ体系。

🔴 7. 最大のリスク（非常に重要）

段崩壊読みは“理論的には堅い”がリスクも巨大。

❌① 崩壊が起きず、スプレッドがさらに拡大

→ 両建ての片側損が増える

❌② 逆方向にスナップが起きる

ロールオーバーはLPが暴れるため逆走することもある。

❌③ スリッページ地獄（特に片側アタック型）

正常化の1ティック前後は滑りやすい。

❌④ 海外FXでは裁定取引扱いで凍結リスク

“スプレッド異常狙い”は業者が一番敏感な領域。

❌⑤ 指標後は暴騰・暴落で逆走しやすい

正常化どころではないケースもある。

🔚 まとめ：スプレッド段崩壊読みとは？

項目	内容
名前	スプレッド段崩壊読み（俗称）
狙い	スプレッド段階拡大 → 崩壊の正常化を取る
利益源	ミーンリバージョン（平均回帰）＋不均衡収束
タイミング	ロールオーバー、指標、LP切替
戦略タイプ	両建て型 / 片側アタック型
本質	マイクロ裁定（アービトラージ）系
リスク	凍結・滑り・逆走