HFM(Hotforex)のティック・スプレッド不均衡アタックについて

「FXのティック・スプレッド不均衡アタック」も、
公式な金融専門用語ではなく、実践トレーダーの間で使われる俗称的な戦略名ですが、
実際には レート配信の“ティックごとの歪み”を利用した超短期裁定系戦略です。

この概念はかなり専門的ですが、体系的に説明できます。

以下で、

🔵 1. ティック・スプレッド不均衡アタックとは？

一言でいうと：

Bid/Ask の更新タイミングがズレた瞬間に、
ティック単位で生じる“本来ありえない価格の歪み（不均衡）”を攻撃して
1〜数pips を瞬間的に抜く戦略。

つまり、

Bid 更新だけが速い
Ask 更新だけが遅い
スプレッドが一瞬だけ急縮小・逆転寸前
ティック配信の遅延で片側だけ飛ぶ

こうした LPの片側更新遅延から発生する異常値（不均衡）を攻撃する手法です。

🔵 2. “不均衡”とは何か？（この戦略の核心）

Bid と Ask は本来、次の関係を保っています：

Bid < Ask  （スプレッド > 0）

しかしティック配信が非対称に発生すると：

Bid が先に更新されて Ask とほぼ同じ位置に接近
Ask が遅れて Bid のすぐ上に取り残される
あるいは逆に

このとき以下が起きます：

✔ Bid と Ask が不自然に近い（=不均衡）

✔ Ask が異常に安い／Bid が異常に高い瞬間が生まれる

✔ スプレッド0〜逆転寸前

この不均衡こそ “攻撃（アタック）ポイント”。

🔵 3. なぜ海外FXで起きやすいのか？

理由は単純で、

✔ LP（Liquidity Provider）が複数

✔ それぞれの配信速度が違う

✔ 約定サーバとレート配信サーバが物理的に異なる

✔ 指標・ロールオーバーで配信が乱れやすい

つまり、レート配信が完璧な同時更新ではないため歪みが生じる。

これを一本釣りするのが不均衡アタック。

🔵 4. 基本的な狙い方（メカニズム）

◆ ステップ①：不均衡検出

Tickの更新で

Bid が急上昇
Ask が追いつかず遅延
→ スプレッド極小（0.0〜0.2p）

この瞬間を検出する。

◆ ステップ②：不均衡方向にエントリー

Ask が遅い場合 → Buy
Bid が遅い場合 → Sell

理由：
本来より“有利すぎる”価格で入れるため、
正常化した瞬間に利益が乗りやすい。

◆ ステップ③：スプレッドが正常値へ戻る動きで利益確定

→ 正常化で1〜3p抜く超短期トレード

◆ ステップ④：ミリ秒〜数秒で完結

長く持つと意味がない戦略。

🔵 5. 実際の例（歪みが見えるシーン）

通常：

Bid = 1.10000
Ask = 1.10010（1p）

異常：

Bid = 1.10008
Ask = 1.10009（0.1p）
※ 本来より“Ask が安すぎる”

→ Buy
→ 数ティック後
Ask = 1.10012 に正常化
＝ +3p の利益

これが不均衡アタックの典型。

🔵 6. 発生しやすいタイミング

🔥① ロールオーバー前後

Bid/Ask の両側が乱れる

🔥② 指標（特に軽量指標）直後

一瞬だけLPが非同期更新

🔥③ ゴールド（XAUUSD）

スナップと不均衡が日常的に出る

🔥④ 早朝のアジア時間

LPが薄く遅延が多い

🔥⑤ 成行約定が不安定な業者

→ 逆にチャンスが多いがリスクも大

🔵 7. 使用アルゴリズム例（EA用の考え方）

この戦略のEAは主に以下を検知：

Bid と Ask の 差分（スプレッド）が一定閾値以下
直前Tickと比べて 片側のみ大きく変動
価格速度（ΔBid/ΔAsk の非対称性）
LP遅延による片側滑りの特徴
逆スプレッド寸前のシグナル

“Bidの瞬間加速 & Ask停滞”
“Askの瞬間加速 & Bid停滞”
を検出するロジック。

🔴 8. 最大のリスク（非常に重要）

この手法は理屈上は正しいが、次のリスクが巨大。

❌① “狙い撃ち” されるためスリッページが極端に発生

逆方向に滑ると瞬殺される。

❌② 成行約定拒否（リクオート）

一番不均衡が大きい瞬間ほど約定されない。

❌③ ブローカーが最も嫌うジャンル（裁定系）

海外FXでは以下に該当しやすい：

配信遅延狙い
異常値キャプチャ
スプレッドエラー狙い
アービトラージ的取引

→ 口座凍結・利益没収の事例多数。

❌④ 不均衡が戻らずに値が走る

スナップで逆方向に飛ぶと即死。

🔵 9. 戦略の本質

学術的に表現すると：

LP間の非同期ティック配信によって生じた
微小なミスプライシング（mispricing）を
ミーンリバージョンで刈り取る
超短期マイクロアービトラージ

である。

🔵 10. この戦略は2026年でも通用するか？

○ チャンスは減っている

LPの改善で歪みは少ない。

○ ただし一部ではまだ発生

ゴールド
ナスダック
一部の海外業者
ロールオーバー
指標後

△ ただし運用は非常に危険

業者の規約・約定能力次第で結果が180度変わる。

🔚 まとめ：ティック・スプレッド不均衡アタックとは？

要素	内容
戦略名	ティック・スプレッド不均衡アタック（俗称）
狙い	ティック更新の非対称性による“スプレッド歪み”を抜く
利益源	Ask遅延/Bid遅延による価格のミスプライシング
タイミング	ロールオーバー、指標、早朝、ゴールド
性質	マイクロ裁定（アービトラージ）系
リスク	スリッページ、凍結、逆走、約定拒否