以下では、**スプレッド収縮逆張り(Spread Compression Rebound)**について、
概念・メカニズム・適用市場・メリット・リスク・他戦略との比較まで
体系的にまとめて詳しく解説します。
📘 スプレッド収縮逆張り(Spread Compression Rebound)とは?
価格差(スプレッド)が極端に縮小したときに、
「本来の平均スプレッドに戻る(リバウンドする)」と想定してポジションを取る逆張り手法です。
ここでいうスプレッドとは:
- 2つの相関関係にある銘柄価格の差
- 同業種ペアの価格比率
- 同一銘柄の先物限月間スプレッド
- クレジットスプレッド(企業債と国債の利回り差)
- 通貨ペア間スプレッド
など、市場によって複数の意味があります。
共通点は:
“縮まり過ぎたスプレッドは、平均回帰しやすい”
という市場特性に基づく逆張り戦略だという点。
🔍 この戦略が成立する背景
なぜスプレッドは平均回帰しやすいか?
その理由は主に次のとおり。
◆ ① 市場の裁定行動(アービトラージ)
価格差が異常に狭くなる
→ 裁定投資家が売買を行う
→ スプレッドが平均へ戻る
◆ ② ファンダメンタルズは急には変わらない
同業種2社、または株と債券など
構造的に関連する資産の関係性は、急に変わりにくい。
◆ ③ 流動性ショックによる一時的ゆがみ
短期的な大口売買でスプレッドが縮むことがあるが、
その後は正常化しやすい。
◆ ④ 一定の市場参加者(マーケットメイカー)が平均的な広さを保つ
スプレッドが狭すぎると参加者の収益機会が減るため、
“自然な水準”へ戻りやすい。
📐 基本ロジック(例)
2資産 A と B のスプレッドを:St=PA,t−PB,t
とする。
スプレッドの平均値 μ と標準偏差 σ を計算して、Zt=σSt−μ
Zスコアが
- -2以下(異常な縮小) → A買い / B売り
- 0付近に戻る → 手仕舞い(利益確定)
というのが典型的な実装。
📊 どんな市場で使われる?(代表例)
◆ ① ペアトレード(株式)
- コカコーラ vs ペプシ
- 三井住友 vs 三菱UFJ
- トヨタ vs ホンダ
近い業種のペアはスプレッドが安定しやすい。
◆ ② 債券(国債/社債)
- クレジットスプレッドが急に狭くなる
→ 将来的に再拡大と判断してショート
◆ ③ 商品先物のカレンダースプレッド
- 近月と遠月の価格差が異常に縮んだときに逆張り
◆ ④ FX(通貨バスケット)
- EUR/GBP vs USD/JPY など
統計的なスプレッドを基準に逆張り。
✨ メリット
✓ 1. 平均回帰の確率が高い(統計的優位)
多くの市場でスプレッドは正規分布に近く平均回帰的。
✓ 2. トレンドを読まなくてよい
トレンドフォローではないため、
相場の方向性を予測する必要がない。
✓ 3. ポジションがヘッジされやすい
A買い / B売り など
ロングとショートを同時に持つため、
市場全体の方向性リスクが小さい。
✓ 4. 勝率が比較的高い
スプレッドが「異常に縮小」した瞬間を狙うため、
復帰確率が高くなる。
⚠️ デメリット・リスク
✗ 1. スプレッドが“本当に崩壊する”場合がある(構造変化)
業績悪化やビジネスモデル変化など、
根本的な理由でペアの関係が崩れるケースがある。
例:
- 製薬会社の特許切れ
- 銀行の不良債権問題
- コモディティ需給の急変
✗ 2. トレンド相場に弱い
スプレッドの異常状態が改善せず、
長期間縮小したままのときは含み損が拡大。
✗ 3. レバを使いやすいため破滅リスクも高まりやすい
想定外のスプレッド崩壊が起きると、
レバ付きは致命傷となることがある。
✗ 4. データ更新・リバランスが高頻度になる
スプレッドのゆがみは短期で発生するため、
システム化がほぼ必須。
🧮 他戦略との比較
| 戦略名 | 性質 | 優れている局面 |
|---|---|---|
| スプレッド収縮逆張り(今回) | 平均回帰・統計的逆張り | ペアの関係が安定している市場 |
| スプレッド拡大順張り | トレンドフォロー | スプレッド拡大が継続する局面 |
| VAL(ボラ連動) | ボラ一定化 | ボラティリティ対応型 |
| ペアトレード(一般) | 中性的ヘッジ戦略 | 市場中立運用 |
| 裁定取引(アービトラージ) | 無リスク利得狙い | 明確な乖離がある市場 |
📚 まとめ
**スプレッド収縮逆張り(Spread Compression Rebound)**は:
- スプレッドの異常な縮小 → 平均回帰を狙う逆張り手法
- 裁定行動・ファンダメンタルの安定性に基づき、確率的優位が高い
- 方向性リスク(マーケットリスク)が小さく、ヘッジされやすい
- ただし 構造崩壊時のリスクは大きいため、銘柄選別が極めて重要
- システム化(自動化)されるケースが多い


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