「流動性吸収+逆張り反転戦略(Liquidity Absorption Reversal Strategy)」は、
近年のスマートマネーコンセプト(SMC)やオーダーフロートレードでも中核を成す、
“プロの仕掛け構造を利用した反転狙いの高精度戦略”です。
この手法は、「なぜその位置で価格が止まり、反転したのか?」を流動性の吸収構造から理解し、
フェイクブレイク(ダマシ)後の反転をピンポイントで狙うものです。
以下で、
👉 概念 → 仕組み → チャート構造 → 実践ルール → 応用構築
まで、段階的に詳しく説明します。
🔶 1. 基本コンセプト:「流動性吸収」とは何か?
まず、**“流動性”とは=他者の注文(特に逆方向のストップ注文)**のことです。
そして「吸収(absorption)」とは、
その流動性を大口プレイヤーがすべて飲み込む(吸収)動きを指します。
▶ イメージ
たとえば:
- 上昇局面で多くの買い注文(Buy Stop)が高値上に並ぶ。
- 機関投資家はそこに大量の売り注文(Sell Limit)をぶつける。
- → 価格は一瞬上抜けるが、それ以上伸びず、すぐ反落。
この“高値を抜いたが伸びない”動きこそが**流動性吸収(Liquidity Absorption)**です。
🔶 2. この戦略の狙いどころ
「流動性が吸収された=トレンドの燃料が使い切られた」ことを意味します。
したがって、
吸収が確認されたタイミングこそが反転点(Reversal Point)。
- 高値圏でBuy Stopが吸収 → 売り反転(ショート)
- 安値圏でSell Stopが吸収 → 買い反転(ロング)
つまり、
「ブレイクについて行く」ではなく、
「ブレイクに釣られた側を踏み台にする」のがこの戦略です。
🔶 3. チャート構造(典型的な吸収反転パターン)
▼ 上値吸収 → 反転ショート
                Buy Stop密集
                   ▲
                   │
      ┌───────┬────────┐  ← 高値ゾーン
      │       │        │
      │   吸収(フェイクブレイク)│ ← 出来高急増、実体は伸びず
      │       │        │
      └───────┴────────┘
                   ▼
            強い陰線発生 → Entry Short
- 一瞬の高値更新
- 大きなヒゲ or 小実体のローソク足
- その後に強い反落(反転足)
がセットで現れます。
▼ 下値吸収 → 反転ロング
            Sell Stop密集
                   ▼
      ┌───────┬────────┐ ← 安値ゾーン
      │       │        │
      │ 吸収(ブレイク失敗)│ ← 出来高急増・長ヒゲ下髭
      │       │        │
      └───────┴────────┘
                   ▲
             陽線反転 → Entry Long
🔶 4. 吸収の「サイン」を見抜くポイント
| 観察項目 | 吸収が起きているサイン | 
|---|---|
| ローソク足形状 | 長いヒゲ+小実体(上ヒゲ=上吸収、下ヒゲ=下吸収) | 
| 出来高(Volume) | ブレイク足で出来高が急増するが、価格が進まない | 
| ティック密度 | ティックが密集(取引多い)なのに進行方向が止まる | 
| オーダーフロー(板情報) | 大きな成行注文後にすぐ反対方向の厚い板が出る | 
→ “勢いはあるのに進まない”=流動性が吸収されているサイン。
🔶 5. 具体的なトレードルール
▶ ロング(下値吸収)
| 条件 | 内容 | 
|---|---|
| 1 | 明確な安値ゾーン(レンジ下限や前日安値)を設定 | 
| 2 | 価格がそのゾーンをブレイク → 長い下ヒゲ+高出来高出現 | 
| 3 | その次の陽線でロングエントリー(反転確認) | 
| SL | 下ヒゲ先端−数pips | 
| TP | 直近戻り高値 or RR=1:2〜1:3 | 
▶ ショート(上値吸収)
| 条件 | 内容 | 
|---|---|
| 1 | 明確な高値ゾーン(レンジ上限・前日高値) | 
| 2 | 一瞬上抜け → 長い上ヒゲ+高出来高 | 
| 3 | 直後に陰線で確定 → エントリーショート | 
| SL | ヒゲ上+数pips | 
| TP | 直近安値 or RR=1:2〜1:3 | 
🔶 6. 実践例(EURUSD・15分足想定)
- 前日高値:1.0870
- ロンドン時間に1.0873まで上昇(フェイクブレイク)
- 出来高急増&1.0870に戻る
- 次足で1.0860割れ → エントリーショート
📈 結果:
TP:1.0835(35pips利確)
SL:1.0875(5pips損切)
RR=1:7
→ 小リスク・高リワードの代表的な例です。
🔶 7. 上位足との組み合わせ(精度向上)
流動性吸収は短期足で起こりますが、
上位足(1時間〜4時間)のゾーンで出現したときの信頼度が最も高いです。
| 上位足 | 用途 | 
|---|---|
| 4時間足 | 主要な高値・安値ゾーンの特定 | 
| 1時間足 | 吸収ポイントの監視 | 
| 5分足 | 実際のエントリートリガー確認 | 
→ 上位足ゾーンで短期足の吸収+反転が出た場合、
ほぼ「機関のポジション転換」を意味します。
🔶 8. タイムゾーンと通貨ペアの相性
| 時間帯 | 意味 | 備考 | 
|---|---|---|
| 東京後半〜ロンドン前半 | 流動性形成期(レンジ) | 吸収準備段階 | 
| ロンドン後半〜NY初動 | 吸収発生+反転多発 | 高ボラ時間帯が狙い目 | 
| 通貨 | GBPJPY, XAUUSD, EURUSD | 吸収が起こりやすい高ボラペア | 
🔶 9. この戦略の長所と短所
✅ 長所
- 機関投資家の流動性吸収を“味方にできる”
- 小リスク・大リターンが狙える
- ローソク足と出来高のみで再現可能
- ダマシブレイクに騙されずに逆張りができる
⚠️ 短所
- 本ブレイクとフェイクブレイクの見極めが難しい
- 出来高・流動性データが見られないと判断力が落ちる
- 成功率は環境依存(レンジやニュース相場では優位性低下)
🔶 10. 補足:プロ向けの構造モデル(SMC準拠)
スマートマネー理論では、以下のような構造で説明されます。
Liquidity Pool(ストップ溜まり)
   ↓
Liquidity Sweep(ブレイク・吸収)
   ↓
Change of Character(トレンド転換の兆候)
   ↓
Break of Structure(構造確定)
   ↓
Order Block戻りでエントリー(押し目/戻り売り)
つまり、「吸収」は反転の前提条件であり、
構造変化(BOS)+OBリテストで本命エントリーを狙うこともできます。
🔶 11. 戦略まとめ表
| 要素 | 内容 | 
|---|---|
| 戦略名 | 流動性吸収+逆張り反転戦略 | 
| コア概念 | Stop狩り → 吸収 → 反転 | 
| 方向性 | 逆張り(だが“プロの方向”に順張り) | 
| 時間軸 | 5分〜1時間足 | 
| エントリー条件 | 高出来高+ヒゲ+反転足 | 
| 損切幅 | ヒゲ外+数pips | 
| RR比率 | 1:2〜1:5 | 
| 有効市場 | 高ボラ通貨・NYセッション | 
| 上位互換 | Liquidity Sweep + BOS構造戦略(SMC応用) | 

