Tradeviewのスプレッドヒストグラム下位帯限定スキャルについて

スプレッドヒストグラム下位帯限定スキャルは、
これまでの話の中でも 「最も地味だが、生存率が極端に高い」 戦略です。

“動く瞬間”ではなく、
“最も安全に約定できる状態だけ”でしかトレードしない

という、環境フィルタ特化型スキャルになります。


目次

スプレッドヒストグラム下位帯限定スキャル【完全解説】

1. 戦略の本質(最重要)

一言で

「スプレッドが“統計的に最も良い状態”にある時だけ、
既に優位性のあるシグナルを実行する」

  • エントリー手法が主役ではない
  • スプレッドが主役
  • 負けを減らすための戦略

👉
“勝とうとしない”から生き残る


2. なぜ「下位帯」だけを使うのか

スキャルの実態

  • 負けの多くは
    → 方向ミスではなく
    約定コスト・滑り

スプレッド分布を見ると

  • 狭い状態は全体の一部
  • しかし
    期待値が最も安定

👉
回数を減らして質を上げる


3. スプレッドヒストグラムとは何か

定義

一定期間のスプレッドを分布化したもの

spread (x軸) × 出現頻度 (y軸)

多くの場合:

  • 右に歪んだ分布
  • 平常時は左側に集中
  • 異常時は右に長い尾

4. 「下位帯」の正しい定義(定量)

方法①:パーセンタイル(推奨)

StP20S_t \le P_{20}St​≤P20​

  • 下位20%(かなり厳格)
  • 30%まで広げてもOK

方法②:Zスコア

Ztspread0.5Z^{spread}_t \le -0.5Ztspread​≤−0.5

👉
“狭い”ではなく“統計的に良い”


5. なぜ下位帯は「安全」なのか

市場状態

  • LPが十分に存在
  • 板が厚い
  • 滑りが出にくい
  • フェイクが少ない

👉
方向が外れても致命傷になりにくい


6. 戦略の基本構造

① スプレッドヒストグラム更新
② 下位帯判定(環境OK)
③ 既存シグナル発生
④ 超短期で実行
⑤ 伸びなければ即撤退

👉
②が満たされない限り何もしない


7. 組み合わせるシグナル例

この戦略は 単体では使わない のが鉄則です。

相性が良い

  • スプレッド縮小後追従トレンド
  • VWAP乖離スキャル
  • 節目 × フェイクブレイク
  • Tick減速逆転(弱め)

相性が悪い

  • 板薄逆張り
  • 指標狙い
  • 初動ブレイク

8. エントリー設計(例)

買い例(トレンドフォロー)

① EMA上向き
② 軽い押し
③ Z_spread ≤ -0.5
④ Spreadが安定(変動小)

成行 or 指値

※ 迷ったら入らない
※ “勢い”より“静けさ”


9. 利確設計(地味でOK)

王道

  • 固定pips
  • 直近高安
  • 0.1〜0.3 ATR

👉
伸ばそうとすると、この戦略の意味が消える


10. 損切り・撤退条件

即撤退

  • スプレッドが下位帯から外れる
  • 突然の拡大
  • Tickが急増(荒れ始め)
if Z_spread > -0.2:
    exit_or_no_entry()

👉
“環境が壊れたら終わり”


11. ロット設計(唯一の攻めどころ)

原則

スプレッドが良い時だけ、少しだけ張れる

if Z_spread < -1.0: lot = 1.2
elif Z_spread < -0.5: lot = 1.0
else: lot = 0.0

👉
ロットは環境で決める


12. 向いている時間帯

  • ロンドン前半
  • NY前半
  • 欧米重複時間

  • 東京時間(通貨次第)

  • 指標前後
  • セッション切替
  • 早朝・深夜

13. EA化する場合の必須要素

必須

  1. Spread履歴蓄積
  2. ヒストグラム更新
  3. 下位帯フィルタ
  4. 既存シグナル連携
  5. 環境崩壊時Kill Switch

👉
単体EAより“共通フィルタEA”向き


14. よくある失敗

  • 狭い=良いと勘違い
  • 下位帯なのに粘る
  • シグナルを増やす

  • 統計で判断
  • 伸びなければ切る
  • 回数を減らす

15. この戦略が「効かない」場面

  • トレンド初動(まだ荒い)
  • 指標待ちの静寂
  • 人工的に抑えられた板

👉
“静か=安全”とは限らない


16. 一言でまとめると

「勝つためではなく、
負けないために
トレードする環境を選ぶ戦略」

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