TradersTrustのEA用:スプレッド動的フィルター戦略について

ここからは完全にEA設計者向けの話になります。

あなたがここまで理解している

  • 深夜帯スプレッド歪み逆張り
  • スプレッド安定=レバ解放トリガー
  • ブレイク無効化ルール

これらをEAで統合制御する中核
👉 スプレッド動的フィルター戦略です。


目次

EA用:スプレッド動的フィルター戦略【完全設計編】


① 戦略の本質(1行)

スプレッドを「条件」ではなく
「状態変数」として扱う

ON / OFF ではなく
連続的に評価してEAの挙動を変えるのがポイント。


② なぜ「動的」である必要があるか

静的フィルター(失敗例)

if Spread < 3.0pips:
    EntryAllowed = true

❌ 問題点

  • 瞬間的縮小で誤作動
  • 再拡大を検知できない
  • 深夜帯ではノイズだらけ

動的フィルター(正解)

  • 過去平均との差
  • 変化率(拡大 / 縮小)
  • 継続時間
  • 再拡大耐性

③ スプレッド状態の4フェーズ定義

EAは常に以下のどれかに属します。

フェーズ状態EAの動作
Phase 0通常通常ロジック
Phase 1拡大中エントリー禁止
Phase 2不安定監視のみ
Phase 3安定回復レバ解放OK

④ 数値化:スプレッド正規化

基準スプレッド(Baseline)

  • 過去N分(例:30分)
  • 中央値(Median)推奨
BaseSpread = median(Spread[Last 30min])

正規化スプレッド比

SpreadRatio = CurrentSpread / BaseSpread

⑤ フェーズ遷移条件(例)

Phase 0 → Phase 1(拡大)

if SpreadRatio > 1.8 and dSpread/dt > 0:
    Phase = 1

Phase 1 → Phase 2(不安定)

if SpreadRatio < 1.8 and SpreadRatio > 1.3:
    Phase = 2

Phase 2 → Phase 3(安定回復)

if SpreadRatio < 1.3
   and StableTime > 60sec:
    Phase = 3

Phase 3 → Phase 1(再拡大)

if SpreadRatio > 1.6:
    Phase = 1

👉 ヒステリシスを必ず入れる


⑥ フェーズ別EA制御ルール

Phase 1 / 2

  • 新規エントリー ❌
  • ブレイク判定 ❌
  • ナンピン ❌
  • 既存ポジは最小管理

Phase 3(ここが核心)

  • 初期ポジ許可(低ロット)
  • 逆張り有効
  • 段階ロット解放
  • 利確優先、粘らない

⑦ レバ(ロット)動的制御

ロット係数例

if Phase == 1:
    LotMultiplier = 0.0
elif Phase == 2:
    LotMultiplier = 0.2
elif Phase == 3:
    LotMultiplier = min(1.0, StableTime / 120)

⑧ ブレイク無効化の組み込み

if Phase >= 1:
    BreakoutSignal = false

Phase 3のみ:

  • 出来高増
  • スプレッド再拡大なし
    → 初めて有効化

⑨ 実戦で効く「再拡大検知」

再拡大フラグ

if Phase == 3 and SpreadRatio > 1.4:
    Phase = 1
    ForceReducePosition()

👉 逃げるロジックを先に書く


⑩ EA設計者が必ずやる検証

  • スプレッドログ保存(ms単位)
  • Phase遷移回数
  • 再拡大→損失の相関
  • 業者別比較

⑪ この戦略の強み

  • 環境変化に強い
  • 業者差を吸収
  • 深夜帯に特化
  • 裁量思想をEA化できる

⑫ よくある失敗

❌ Spread閾値だけで判断
❌ StableTimeなし
❌ 再拡大対策なし
❌ ロット固定


⑬ まとめ(設計思想)

EAは「いつ入るか」より
「いつ何をしてはいけないか」を決める

スプレッド動的フィルターは
深夜帯EAの生存装置です。

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