**統計的高頻度ボリューム反転(Statistical HFT Volume Reversion)**は、
これまで話してきた手法の中でも 最も「数理・検証寄り」で、
裁量とアルゴの境界線にある手法です。
今回は
概念 → 統計的前提 → 構造 → 実行ロジック → 数値設計 → 破綻条件
まで一気に説明します。
目次
1. 統計的高頻度ボリューム反転とは
一言定義
「短時間に異常集中した出来高は、一定確率で価格の一時的歪みを生み、平均へ戻る」
という統計的性質を抜く超短期逆張り手法
- 時間軸:1秒〜30秒(最大でも1分)
- 対象:高流動性市場のみ
- 利幅:0.02〜0.2%
- 回数:少数精鋭(高頻度≠多回数)
👉 チャート形状より「数値の異常」を見る
2. この手法の前提となる統計的事実
① 出来高は正規分布しない
- 通常時:低〜中水準で推移
- 異常時:極端なスパイク
👉 スパイクの多くは
**「継続」ではなく「解消」**に向かう
② 超短期ではトレンドより平均回帰が優位
特に:
- 秒足
- ティック足
- レンジ相場中
では
ボリューム過多=行き過ぎ
になりやすい。
3. 何を「反転」と定義するのか
重要なのは
❌ 値段が戻る
ではなく
✅ ボリュームの歪みが解消される
反転の正体
- 成行が一方向に集中
- 反対側の指値が吸収
- 価格は進んだが「効率が悪い」
👉 非効率な価格形成=戻りやすい
4. 観測するデータ(必須)
最低限必要
- ティック出来高
- 約定方向(Buy / Sell)
- 短期VWAP
- 秒単位の出来高平均
見ないもの
- 日足
- ライン分析
- パターン形状
👉 形を見ると遅れる
5. 統計的トリガー条件(核心)
ボリューム異常の定義例
以下すべて満たす時のみ注目:
- 直近N秒平均出来高の3〜5倍
- 同方向成行比率 ≥ 70%
- 価格進行がVWAP乖離 ±1σ以上
- それでも板が抜けていない
👉 「流れてるのに、進まない」
6. エントリーロジック(実戦)
ショート反転例
- 買い成行が急増
- 出来高スパイク(統計閾値超え)
- 価格がVWAP+σ帯
- しかし上が重い
- 売りで入る
※ ロングも同様に逆
⏱ エントリーは
スパイク終盤〜減速開始点
7. レバレッジ設計
この手法は
勝率は高め、値幅は小さい
基本設計
- レバ:5〜20倍
- 最大損失:口座の0.2〜0.5%
- 逆行許容:スパイク幅の30%以内
👉 超高レバ常用はNG
(分布外の継続が来る)
8. 利確・損切り
利確
- VWAP付近
- ボリュームが平均に戻った瞬間
- 約定が止まる
損切り
- 出来高がさらに拡大
- VWAP乖離が2σ超
- 板が抜け始める
👉 「耐える」は統計否定
9. 勝率・期待値の現実
- 勝率:65〜80%
- RR:0.3〜0.7
- 重要指標:最大連敗数
👉 勝率が高くても尾がある
10. 最も多い誤解
- 出来高が多い=反転
→ ❌ - スパイク=天井
→ ❌ - 毎回使える
→ ❌
正しくは:
「統計的に異常」かつ
「構造的に詰まっている」時だけ
11. 破綻する相場環境(超重要)
以下では絶対に使わない:
- 指標発表直後
- トレンド初動
- ファンダ材料あり
- 流動性が薄い時間帯
👉 分布が壊れる
12. この手法の位置づけ
| 手法 | 主軸 |
|---|---|
| micro-tick | 反射 |
| ピンバー反転 | 形と場所 |
| ダイナミックレバBO | 勢い追従 |
| 統計的高頻度ボリューム反転 | 分布の歪み |
核心まとめ
統計的高頻度ボリューム反転は
「価格を見る手法ではない」
「形を信じない」
「平均に戻る確率が高い“異常”だけを取る」
そして最大の真理は:
分布が壊れたら、人間は勝てない
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