IFC Marketsの合成金融商品(GeWorko)× 相関スプレッド・アービトラージについて

以下では 「合成金融商品(GeWorko)× 相関スプレッド・アービトラージ」 を、
実際のトレード戦略として使えるレベルで、体系的に詳しく解説します。


目次

■ 1. 合成金融商品(GeWorko)とは?

GeWorko(Geometric Work) は、主に AMarkets などで使われる
2つ以上の銘柄を比率(ウェイト)で合成して“1つの商品”としてチャート化できる技術 です。

▼ 例:EURUSD 対 USDJPY の合成

  • 合成価格 = EURUSD ÷ USDJPY
    (どちらを分子/分母に置くかは戦略による)

これにより、通常の単一チャートでは見えない
「相対的な強弱」 が可視化されます。


■ 2. 相関スプレッド・アービトラージとは?

▼ 基本コンセプト

  • 相関の強い2つの資産の価格差(スプレッド)が、平均から大きく乖離した時に逆張りする
  • 将来的に平均回帰することを利用して収益を得る
  • いわゆる 「ペアトレード」 の一種

しかし通常のFXでは
「EURUSD – GBPUSD」
「USDJPY – CHFJPY」
などのスプレッドを自分で計算する必要があります。

GeWorko を使えば合成チャートとして直接表示できるため、
視覚的にもバックテスト的にも扱いやすくなります。


■ 3. GeWorko × 相関アービトラージの仕組み

(1) 強相関ペアを選ぶ

  • EURUSD × GBPUSD
  • AUDUSD × NZDUSD
  • USDJPY × CHFJPY
  • 原油 × カナダドル
    などが定番。

(2) GeWorko で合成チャートを作る

例:EURUSD と GBPUSD

  • 合成:EURUSD ÷ GBPUSD
    → EUR と GBP の相対強弱が見える。

(3) 合成チャート(相関スプレッド)が平均回帰する性質を利用

  • 合成チャートが +2σ 以上に乖離 → ショート
  • 合成チャートが −2σ 以上に乖離 → ロング
    → 個別銘柄でも同時に売買を行う(ヘッジ)

(4) 実際の建て方(重要)

合成チャートが上に乖離している場合:

  • 比較的「強い側」を 売る
  • 比較的「弱い側」を 買う

例:
EURUSD ÷ GBPUSD が高すぎる
→ EUR が相対的に強い

  • EURUSD を 売り
  • GBPUSD を 買い

ロットサイズは相関やボラに応じて調整。


■ 4. この戦略が機能する理由

◎ 相関ペアは統計的に「価格差が平均に戻る」傾向が強い

  • ファンダメンタルが似ている
  • 通貨の方向性が似る

◎ 合成チャートにすることで「歪み」が明確に見える

普通のチャートだと見えない価格差の異常が一目でわかる。

◎ 方向性リスク(トレンドリスク)が軽減される

強いトレンドでも資産のペアでヘッジされるため:

  • 片方が負けてももう片方が勝つ
  • 相場の方向性ではなく「相対的な乖離」に賭ける戦略

■ 5. エントリー条件の実例

● 条件(1)ボリンジャーバンド

  • 合成チャートが ±2σ or ±2.5σ へ乖離

● 条件(2)Z-score

Z-score = (現在値 − 平均) ÷ 標準偏差

  • +2.0 以上 → ショート
  • −2.0 以下 → ロング

● 条件(3)相関係数

  • 過去200期間で 0.8 以上
  • 相関が弱ければ原則採用しない

■ 6. 注文(建玉)のバランス

相関アービトラージでは ロット比率が命

● ロット調整の例(ベータヘッジ風)

たとえば EURUSD と GBPUSD のボラ比が:

  • EURUSD の1日の平均変動:80pips
  • GBPUSD の1日の平均変動:100pips

→ GBPUSD のほうが動く
→ ロットは逆にする

  • EURUSD 1.25lot
  • GBPUSD 1.00lot

これで価格差の歪みをヘッジしつつ取ることができる。


■ 7. 利確・損切り

● 利確

  • 合成チャートが平均へ回帰(Z-score 0 付近)
  • ±1σ 内へ戻ったら利確
  • 固定pips(ペア合算で10〜20pipsなど)

● 損切り

  • さらに乖離が進んだらアウト(Z-score ±3.0)
  • 相関崩壊(相関係数 0.5以下)

※相関が消えるとこの戦略は破綻します。


■ 8. メリットとデメリット

◎ メリット

  • トレンド方向の影響を受けにくい(方向性を当てる必要がない)
  • ボラショック時の機会が多い
  • コツコツ勝ちやすい
  • GeWorko により視覚的にシンプルに運用可能

▲ デメリット

  • 相関崩れたら大損する
  • 実際のスプレッドは2銘柄分かかる
  • ロット調整が難しい
  • 長期の乖離が続くこともある(ショック相場)

■ 9. この戦略が最も機能する相場

  • レンジ相場
  • ボラティリティはあるが方向性がない期間
  • 中期・長期で相関が安定している通貨ペア

逆に、
米ドル独歩高/独歩安など、ファンダメンタルが壊れた時期は危険。


■ 10. まとめ

GeWorko によって合成チャートを作り、
その価格差(スプレッド)の平均回帰を取るスプレッド・アービトラージ戦略 は:

  • トレンドに依存せず
  • 統計的に優位性があり
  • 安定した収益化が目指せる

というプロップデスク級の手法です。

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