IFC Marketsのピラミッディング（段階レバ乗せ）戦略について

以下では、**ピラミッディング（段階レバ乗せ戦略）**について、
プロのトレンドフォロワー・CTA（商品投資顧問）・先物トレーダーが実際に使う思考法に近い形で、
仕組み → 数式 → 実務フロー → 失敗しやすいポイント → 最適化 の順に、体系的に詳しく解説します。

🔶 1. ピラミッディングとは

含み益が乗ることを条件に “追加エントリーでレバレッジを段階的に増やしていく” 手法。

簡単にいえば：

ロング時 → 上がったら買い増し
ショート時 → 下がったら売り増し

つまり 利益が出ている“順張り方向だけ” にサイズを増やす戦略。

✔ 含み損の時は追加しない
✔ 流れが明確な時だけ火力を増す
✔ トレンドフォロー戦略の王道

🔶 2. なぜ強いのか（理論背景）

■① ケリー基準（Kelly Criterion）と相性が良い

利益期待値が高い局面ほどレバレッジを増やし、
不利なときには増やさない → 最適化された資本成長に近づく。

■② トレンド相場において“期待値を最大化”

トレンドが続く限り、
「平均取得価格が改善された状態で大量のポジション」が作れる。

■③ 逆行時のリスクが限定的

最初のポジション量が一番小さく、
追加ポジションはすべて利益の上で構築されるため、
反転された場合は 利益の返還で済む → ドローダウンが小さくなる。

🔶 3. ピラミッディングの基本構造（標準形）

▼ ベースポジション（最初の建玉）

ボラティリティに基づくサイズ
ATR×リスク割合などを使う（後述）

▼ 追加ポイント（Add-on）

一定幅上昇するごとに追加
ATRの0.5〜1.0倍上昇 → 追加1
次の ATR幅 → 追加2

▼ 最大段階数

一般的には 3〜5段階
（多すぎるピラミッドは崩れる確率が上がる）

🔶 4. 代表的な 3 つのピラミッディング方式

🔸① 等間隔型（Equal Distance）

価格が一定幅動くたびに同じ数量を積む。

例：

初回 1ロット
+1ATR → 1ロット追加
+2ATR → 1ロット追加
+3ATR → 1ロット追加

最も一般的で、初心者が扱いやすい。

🔸② 比例増加型（Pyramidal Increment）

段階が進むほどサイズを大きくする。

例：

初回 1ロット
+1ATR → 1.5ロット
+2ATR → 2ロット
+3ATR → 3ロット

→ トレンド確定後の爆発力が高い
→ プロのトレンドフォロワーがよく使う

🔸③ ボラティリティ連動型（Volatility Adjusted）

ATR低下 → トレンド強い → 追加量増
ATR急上昇 → リスク高い → 追加控えめ

最も洗練されていて、CTAの標準手法。

🔶 5. ピラミッディングの具体的設計（数式レベル）

▼ 基本式：1トレードのリスク量

R = 資金 × リスク率

例：資金100万円、リスク1% → R = 1万円

▼ ベースポジション

Base_size = R / ATR

▼ 追加ポジション

「価格がATR幅動くごとに追加」

Add_size = Base_size × k

k は増加係数

等間隔型：k = 1
比例型：k = 1.2〜2
ボラ調整型：k = ATR比率で可変

🔶 6. 実例（BTCを使ったリアルな計算）

◆ケース：

価格：40,000 USDT
ATR：800
資金：1,000,000円
リスク率：1% → R = 10,000円 ≒ 67 USDT
Base_size = 67/800 = 0.083BTC

▼ ピラミッド構築

（等間隔型 / k=1）

1段目（初回）
→ 0.083 BTC

価格が +800（1ATR）上昇すると
2段目
→ 0.083 BTC

さらに +800 上昇
3段目
→ 0.083 BTC

合計

0.249 BTC（約3倍強化）

トレンドが続けば巨大な含み益になる。
反転した場合は、初回ポジションより増してないので
損失は比較的小さく済む。

🔶 7. ピラミッディングで最も大事なこと

✔① 追加は“含み益の上でのみ”

損している時に買い増すのはピラミッディングではなく ナンピン（危険）。

✔② 追加間隔は ATR 基準で

固定pipsだと相場環境に合わない。
ATRは相場ボラに適応しやすい。

✔③ 最初のポジションは小さく

「初期ロット＜最後のロット」が理想。
（最初を全力にするとピラミッドが崩れやすい）

✔④ 最大段数を決める（3〜4段）

トレンドの寿命は有限。
積みすぎ＝崩壊しやすい。

✔⑤ トレイリングストップ必須

利益を守りつつ、ピラミッドも維持する。

🔶 8. ピラミッディングが失敗する典型例

❌ 感情で追加する（ルールがない）

→ エントリーポイントが歪む

❌ 1段目を重く張りすぎる

→ ピラミッドが崩壊した時の損失が大きくなる

❌ 逆行中に追加（ナンピン化）

→ 最悪の破綻パターン

❌ トレンドが終わっているのに追加

→ 反転の天井で積んで大損

🔶 9. ピラミッディング × レバレッジ管理

最も合理的なのは：

■“全ポジション合計のリスクを一定に保つ”方法

（ATR比例レバ戦略と同じ発想）

Total_position_value < 資金 × 最大許容レバ

一般的に最大レバは：

プロ水準：2〜4倍
熟練：5倍まで
トレンド極強期：7倍（かなり攻め）

🔶 10. ピラミッディング × クロス証拠金

相性がよい。

理由：

含み益を使って追加ポジションを作成できる
有効証拠金が自然に増える
強制ロスカットが遠ざかる

ただし高レバは破滅するため
「総レバ管理」は必須。

🔶 11. まとめ（要点）

項目	内容
戦略	含み益が乗った方向へ段階的にポジション追加
基本	ATR / ボラティリティ単位で積み上げる
強み	トレンド中の期待値最大化・ドローダウン最小化
注意点	逆行中ナンピン禁止・最大段数・レバ管理
プロの手法	ボラ連動型ピラミッディング