「ニュース/イベント直後の短期ボラティリティ活用型戦略」は、
いわゆる “ポストニューストレード”(ニュース発表直後の急変動を利用する戦略)です。
これは発表直前にポジションを持たず、発表“直後”の市場反応から短期で値幅を取る戦略で、
「ファンダメンタル反応 × 短期テクニカル × ボラティリティ管理」の3軸で構成されます。

🧭 戦略の基本コンセプト
ニュース発表直後に発生する急激なボラティリティ(価格変動)を、方向確認後に短期で取りに行く戦略。
重要なのは、
- 「発表前にはポジションを持たない」
- 「反応方向が確定してからすぐに乗る」
- 「ボラティリティが消える前に速やかに利確する」
この3つを徹底することです。
📅 対象イベント(短期ボラティリティが出やすい)
| 種類 | ボラティリティ | 備考 |
|---|---|---|
| 米雇用統計(NFP) | ★★★★★ | 定番・最もボラが出る |
| CPI(消費者物価指数) | ★★★★★ | 金融政策期待を変える |
| FOMC・ECB・日銀政策会合 | ★★★★★ | 金利・為替・株すべてに影響 |
| 要人発言/サプライズニュース | ★★★★☆ | “不意打ち”で急変動 |
| 地政学・企業決算など | ★★★☆☆ | 一部銘柄・通貨限定で有効 |
⚙️ 戦略構築のステップ
① 発表前:ポジションは持たない(=ノーギャンブル)
ニュース発表直前にポジションを取るのは完全にギャンブルです。
なぜなら、
- スプレッドが3〜10倍に拡大
- 価格が上下に一瞬で30〜100pips動く
からです。
👉 よって「発表後1〜3分で方向確認 → 参入」が基本。
② 初動方向の判定(ファンダではなく値動きで確認)
| チェック項目 | 条件 |
|---|---|
| ① 初動のローソク足 | 長い陽線→ロング候補/長い陰線→ショート候補 |
| ② 直前高値/安値ブレイク | どちらを抜けたかで方向確認 |
| ③ 出来高・ティック量 | 急増している=実需参加あり |
| ④ スプレッド | 平常水準に戻ったらエントリー可能サイン |
💡ポイント:
「内容(結果)より反応(値動き)」を優先します。
→ ファンダの解釈よりも、“市場がどう動いたか”を根拠にする。
③ エントリー戦略(2つの型)
| 型 | タイミング | 特徴 |
|---|---|---|
| ① 即乗り型(モメンタム) | 方向が確定した瞬間に成行エントリー | 初動を取れるがリスク高 |
| ② リテスト型(安全型) | 一度押し戻したあと再加速を狙う | ダマシを回避できる |
🔹例:
- CPIでドル買い反応 → 1分足で高値ブレイク
→ 成行で半ロットロング(即乗り)
→ その後の押し(1分足2〜3本分)で再上昇確認 → 追加ロング(リテスト型)
④ 利確と損切りの設計
| 項目 | ルール | 備考 |
|---|---|---|
| 損切り | 初動安値(高値)の外側 | 短期戦略なので狭め(10〜20pips) |
| 利確① | 初動幅の50〜70%程度 | 例:初動40pips→20〜30pips利確 |
| 利確② | ボラ収束 or トレーリング | ボリバン収束 or RSI鈍化時 |
| 時間基準 | 5〜15分以内に完結 | ボラが消える前に終了する |
💡この戦略では“時間制限”が非常に重要です。
ニュース直後のボラは5〜15分で消滅します。
長時間保有はリスク増。
📊 実例:米CPI発表(USD/JPY 1分足)
1️⃣ 発表後、USD/JPYが急上昇 → 150.00 → 150.60(初動+60pips)
2️⃣ 初動ローソク:大陽線+出来高急増
3️⃣ 150.40に押す → 150.45で再上昇確定 → ロングIN
4️⃣ 損切り:150.25(−20pips)
5️⃣ 利確:150.95(+50pips)
→ RR = 1:2.5、所要時間 約8分
📈 テクニカル補助フィルター
| インジケーター | 用途 |
|---|---|
| EMA 20/50(1分 or 5分足) | 短期方向判定(上向きならロング優勢) |
| ATR (14) | 平均ボラ確認(ATR×1.5以上=高ボラ) |
| Bollinger Bands (±2σ) | バンド拡大=ボラ急増確認 |
| Volume / Tick Volume | 出来高急増で「本物の動き」確認 |
| RSI(14) | オーバーシュート判断(過熱で利確) |
⚠️ 注意点とリスク対策
| リスク | 説明 | 対策 |
|---|---|---|
| スプレッド拡大 | 発表直後に広がる | 1〜3分待って平常化確認 |
| フェイクブレイク | 一方向に飛んで即反転 | “終値確定”で方向確認 |
| ヒゲ抜けで巻き込まれる | 超短期ノイズ | リテスト型でエントリー |
| アルゴ取引に逆らう | 瞬間的な反発に巻き込まれる | 追いかけすぎず1回で終える |
| 過剰レバレッジ | 損切り早いが頻繁に負ける | 1回のリスクは口座の1〜2%以内 |
🧩 応用①:ハーフポジション併用
1️⃣ 初動確定で 半分エントリー(0.5ロット)
2️⃣ 押し戻しで方向維持を確認 → 残り半分追加
→ フェイク対策しつつ、トレンド発生時の取りこぼしを防げます。
🧩 応用②:二段階決済(スケールアウト)
- 初動幅の50%で半分利確
- 残りはトレーリングストップ(EMA10など)で伸ばす
これにより「短期利確+中期伸び」の両方を取れます。
📘 戦略まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 戦略名 | ニュース/イベント直後の短期ボラティリティ活用型戦略 |
| タイプ | 超短期順張り(モメンタムフォロー) |
| 時間軸 | 1〜5分足中心(10〜20分完結) |
| 狙い | イベント直後の急変動初動を取る |
| 根拠 | 値動き+ボリューム急増=実需トレンド発生 |
| 強み | スピード・リスクリワード効率が高い |
| 弱点 | タイミング命/再現性に熟練必要 |
| RR目安 | 1:2〜1:3 |
| 向いている市場 | FX・指数CFD・仮想通貨(BTC/ETH) |
💬 最後に:成功のカギ
✅ 発表前はポジションを持たない
✅ 発表後の1〜3分で方向+ボリューム確認
✅ 動き出したら素早く・短時間で完結する
✅ 初動を取れなくても“次のリテスト”を狙う冷静さを保つ
この戦略は、
「瞬間的な市場心理の流れを読む訓練型手法」でもあります。
慣れるとわずか数分でRR 1:3クラスのトレードも可能です。






