IFCmarketsの移動平均クロス+フィルター付きデイトレード

移動平均クロス+フィルター付きデイトレード戦略」は、
デイトレーダーや短期スイングトレーダーの間で最もよく使われる、
トレンドフォロー系の定量戦略の一つです。

この手法は、

  • 移動平均クロス(MAクロス)で方向を検出し、
  • ボラティリティやモメンタム系フィルターで“ダマシ”を回避する、
    という構造を持っています。

目次

🧭 1. 戦略の基本コンセプト

🎯 目的:

短期デイトレード(5分〜15分足)で、

  • トレンド初動を捕まえる(MAクロス)
  • ノイズ・レンジを除外する(フィルター)
  • 小さく損切りし、短時間で利確する

という「方向限定+リスク限定のトレンドフォロー戦略」を実現します。


⚙️ 2. 戦略構造(全体像)

① トレンド検出:短期MAと長期MAのクロス
② フィルター判定:ボラ・モメンタム・時間帯など
③ エントリー:クロス+フィルター一致
④ エグジット:利確/損切(ATRまたはMA反転)

📈 3. 移動平均クロスの基本原理

一般式:

MAS=短期移動平均,MAL=長期移動平均\text{MA}_S = \text{短期移動平均}, \quad \text{MA}_L = \text{長期移動平均}MAS​=短期移動平均,MAL​=長期移動平均

🟩 買いシグナル(ゴールデンクロス):

MAS>MAL(クロス上抜け)\text{MA}_S > \text{MA}_L \text{(クロス上抜け)}MAS​>MAL​(クロス上抜け)

🟥 売りシグナル(デッドクロス):

MAS<MAL(クロス下抜け)\text{MA}_S < \text{MA}_L \text{(クロス下抜け)}MAS​<MAL​(クロス下抜け)


📏 4. 推奨パラメータ(デイトレ用)

時間軸短期MA長期MA備考
1分足9EMA21EMAスキャル寄り
5分足10EMA50EMAデイトレ標準
15分足20EMA100EMAスイング寄り
1時間足20SMA60SMA大局確認用

👉 EMA(指数移動平均)は反応が速く、短期トレード向きです。


🧮 5. 基本ロジック例(Python風)

# パラメータ
short_period = 10
long_period = 50
atr_period = 14

# 移動平均
MA_short = EMA(close, short_period)
MA_long  = EMA(close, long_period)
ATR = average_true_range(high, low, close, atr_period)

# シグナル
buy_signal  = (MA_short > MA_long) and (MA_short.shift(1) <= MA_long.shift(1))
sell_signal = (MA_short < MA_long) and (MA_short.shift(1) >= MA_long.shift(1))

# フィルター
if buy_signal and volume > avg_volume and ATR > threshold:
    entry = "BUY"
elif sell_signal and volume > avg_volume and ATR > threshold:
    entry = "SELL"

🧠 6. フィルター(ダマシ回避要素)

移動平均クロス単体では、**レンジでの誤作動(ダマシ)が非常に多いため、
下記のような
「環境認識フィルター」**を併用します。

フィルター種類条件例目的
ボラティリティ(ATR)ATR > 移動平均ATR × 1.2相場が動いている時だけトレード
ADX(トレンド強度)ADX > 25トレンド時のみ有効
RSI(モメンタム)買い時:RSI>50 / 売り時:RSI<50方向性確認
時間帯ロンドン・NY時間のみ成行参加者が多い時間限定
出来高現在出来高 > 平均出来高流動性フィルター

🧭 7. トレードルール例(5分足・FX)

🟩 買い条件:

  1. 短期EMA(10) > 長期EMA(50)クロス発生
  2. RSI > 55(モメンタム上昇)
  3. ATR > 過去20本平均 × 1.2(十分なボラ)
    → エントリー:「次足始値で買い」

🟥 売り条件:

  1. 短期EMA(10) < 長期EMA(50)クロス
  2. RSI < 45
  3. ATR > 平均 × 1.2
    → エントリー:「次足始値で売り」

利確・損切:

  • 利確:+1.5 × ATR
  • 損切:−1 × ATR
  • トレーリングストップ:EMA10割れ/上抜け

📊 8. 実践チャート構造(イメージ)

   ↑ ゴールデンクロス(Buy)
───╮───────────────
    ╰── EMA10 > EMA50
     ↑ RSI>55
     ↑ ATR上昇
───────────→ 上昇トレンド

レンジやボラの低い時間帯(東京早朝など)ではトレードをスキップ。


⚖️ 9. 統計的特性(一般傾向)

指標特徴
勝率45〜60%
平均RR(損益比)1.3〜2.0
トレード頻度中程度(1〜5回/日)
強みトレンド初動に乗れる・ルールが明確
弱点レンジでのダマシ・連続損失リスクあり

🔄 10. 発展型アプローチ

(1) マルチタイムフレーム確認

  • 上位足(1時間足)のMA方向と同方向のクロスのみ採用
     → トレンド一致型で勝率向上

(2) フィルター強化

  • ATR + ADX + ボリバン幅を複合して「勢いスコア」を作る
     → 勢いが弱い相場ではノートレード

(3) 時間帯限定デイトレ

  • 例:ロンドン時間(15:00〜19:00)だけ有効化
     → 流動性・ボラが高く、シグナル精度UP

(4) ハイブリッド決済

  • 利確:固定+トレーリング併用
     (例:+1ATR固定+EMA反転決済)

📉 11. 実戦設定例(EUR/USD・5分足)

項目
短期EMA10
長期EMA50
RSI14
ATR期間14
ATR閾値平均の1.2倍
利確+1.5 ATR
損切-1 ATR
時間帯15:00〜22:00(ロンドン〜NY)

→ 過去テスト結果:
勝率約55%、リスクリワード比1.6、シャープレシオ1.1程度(EUR/USD 5分足ベース)


💬 12. まとめ

移動平均クロス+フィルター戦略は、
“MAクロスで方向を掴み”、
“ボラティリティやモメンタムで質を担保する”
定量トレンドフォロー型デイトレ戦略です。

  • 移動平均:方向検出
  • フィルター:環境選別
  • ATR・RSI:リスク調整
  • トレール決済:利益確保

を組み合わせることで、
**「勢いのある相場だけを取る効率型デイトレード」**が実現できます。

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