「合併商品(PCI:Packaged Custom Instruments) を活用したカスタム・ポートフォリオ/相関裁定戦略」は、金融機関のプロ投資家やヘッジファンドなどが使う高度なポートフォリオ構築・裁定(アービトラージ)手法の一つです。
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以下で、順を追って詳しく説明します。
目次
🧩 1. 合併商品(PCI:Packaged Custom Instruments)とは?
PCI(Packaged Custom Instrument) は、複数の金融資産(株式、債券、デリバティブ、ETF、通貨、コモディティなど)を一つのパッケージにまとめたカスタム商品です。
通常は投資銀行やプライムブローカーが特定の投資戦略を効率的に実装できるように構成します。
例:
- 投資家が「テクノロジー株のロング、公益株のショート」で相対価値を取りたい場合
→ 銀行がこのペアを一つのPCIとして作り、まとめて取引できるようにする。
特徴:
- 相関構造を明示的に管理できる(ヘッジ効率が高い)
- 複数資産を1つのティッカーで取引できる(実務上の簡便さ)
- リスク・リターンの最適化や相関裁定の自動化が可能
🧮 2. カスタム・ポートフォリオ構築への応用
PCIを用いることで、投資家が望むリスク特性・テーマ・ファクターエクスポージャーを持つ「カスタム・ポートフォリオ」を設計できます。
手順イメージ:
- 目的設定
例:「日米金利差に対してニュートラルなグローバル株式ポートフォリオを作りたい」 - 基礎資産の選定
- 株式インデックス先物(S&P500, TOPIX など)
- 通貨フォワード(USDJPY など)
- 最適化(Optimization)
- リスク寄与度やボラティリティを考慮して重み最適化
- 「特定ファクターへのエクスポージャー最小化」などの制約条件を入れる
- パッケージ化(PCI化)
→ 設計したポートフォリオを銀行側が単一商品としてまとめて提供
このように、投資家は一つのPCIを買うだけで、自分専用の戦略を実現できます。
⚖️ 3. 相関裁定戦略(Correlation Arbitrage)との関係
相関裁定とは、複数資産間の相関関係の変化を利用して利益を狙う戦略です。
典型的な構造:
- 「相関が高い」と考えられる2資産(例:航空株と原油価格)を観察
- 相関が一時的に崩れた時(乖離時)に
- 割安資産をロング(買い)
- 割高資産をショート(売り)
- 相関が元に戻るタイミングで差益を獲得
PCIを活用する利点:
- 多資産の相関構造を1つのパッケージで動的に管理可能
- 金融機関側で相関マトリクスを組み込んだデルタヘッジ構造を設計できる
- 実際のトレード実行コストが大幅に低減
📊 4. 実際の応用例
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| エクイティ・マーケットニュートラル戦略 | PCIでロング・ショート銘柄群をまとめ、βやファクターエクスポージャーをニュートラル化 |
| クレジット・相関裁定 | CDSや債券スプレッド間の相関を利用した裁定構造を1商品にパッケージ化 |
| ボラティリティ・アービトラージ | VIX先物やオプションの相関構造を利用して異常な歪みをヘッジ付きで取引 |
| クロスアセット戦略 | 株式・為替・金利・コモディティを混合した「マルチファクターPCI」で分散裁定 |
🧠 5. メリット・リスクまとめ
| 観点 | メリット | リスク/注意点 |
|---|---|---|
| 構築・実行 | 複雑な戦略を一括で取引可能 | 透明性が低く、価格決定がブラックボックス化しやすい |
| コスト | 取引コスト・ヘッジコストが低減 | 発行体(銀行)によるマージンが含まれる |
| リスク管理 | 相関・ファクターリスクを精緻にコントロール | 相関崩壊(ストレス局面)時に損失が拡大する可能性 |
💬 まとめ
合併商品(PCI) は、
投資家が自らの見通しやリスク許容度に合わせて設計したカスタム・ポートフォリオを、
金融機関が単一取引商品として提供する仕組みです。
この枠組みを用いることで、相関裁定戦略をより精緻に・効率的に実装できるようになります。
一方で、商品設計の複雑性や相関の不安定性には注意が必要です。






