スプレッドとは何か
- スプレッド (spread) は、買値(Ask)と売値(Bid)の差 のことを指します。実質的な取引コストの一部で、これが広いと取引コストが高くなるという意味です。
- 通常、スプレッドは 「ピップス (pips)」 単位で表現されます。たとえば、EUR/USD の Bid が 1.11113、Ask が 1.11125 なら、スプレッドは 0.00012 = 1.2 pips です。
Exness におけるスプレッドの種類
Exness では、銘柄やアカウントタイプによってスプレッドの性質が異なります。主に次のようなタイプがあります:
| スプレッドのタイプ | 特徴 | 適用される銘柄/状況 |
|---|---|---|
| 変動スプレッド (Dynamic / Floating Spread) | 市場の流動性やボラティリティに応じて常に変動する | 多くの通貨ペアや一般的な FX 銘柄 |
| 安定スプレッド (Stable Spread) | 通常時に比較的一定(固定に近い)で、急変時のみ広がることがある | Exness が対象と明示しているメジャー通貨ペア(例:EURUSD, USDJPY 等) |
| ゼロスプレッド (Zero / “Raw Spread” 相当) | スプレッドを極限まで抑え、その代わりに取引手数料(コミッション)を別途課す | Zero アカウントなどで提供される方式 |
Exness の公式サイトでも、スプレッドは「常に浮動(floating)」とされ、最も低いスプレッドは Zero アカウントで「0.0 pips」が 95% の時間で適用されることがあるという記載があります。
通貨ペア・アカウントタイプ別のスプレッド例
実際に、Exness のスプレッドの目安をアカウントタイプ別・通貨ペア別で見てみましょう(あくまで目安であり、時間帯・市場環境により大きく変動します)。
| アカウントタイプ | 通貨ペア | 平均スプレッドの目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Standard(手数料なし型) | EUR/USD | 約 1.0 pips | 手数料なしでスプレッドにマークアップを含むタイプ |
| Pro | EUR/USD | よりタイト(0.0~0.6 pips 程度とされることもあり) | スプレッドを抑える構成、ただし流動性低下時には広がる可能性 |
| Zero / Raw Spread 型 | 多くの通貨ペア | 0.0 pips が可能な時間帯あり | ただし手数料が別途発生することが多い |
| 金 (XAU/USD) | — | 平均スプレッド ≒ 0.16 USD(16セント)程度 | コモディティのスプレッド例。銘柄ページに記載あり。 |
また、DailyForex のレビューによれば、Standard アカウントで EUR/USD は平均 1.0 pips、Pro アカウントでは約 0.6 pips のスプレッドになるというデータもあります。
ただし、この「平均スプレッド」は過去実績や表示されている過去日ベースの平均値であり、リアルタイムではこれより広がる可能性があります。
スプレッドに影響を与える要因
スプレッドは固定ではなく、次のような要因で変動します:
| 要因 | 説明 |
|---|---|
| 市場の流動性(取引量) | 流動性が高い時間帯(ロンドン・ニューヨーク市場重なり時間など)はスプレッドが狭くなる傾向がある |
| ボラティリティ/ニュース発表 | 経済指標発表直後などは急激な価格変動でスプレッドが大きく広がることがある |
| 取引銘柄の性質 | メジャー通貨ペアは一般的にスプレッドが狭い。一方、マイナー・エキゾチック通貨や株価指数・仮想通貨はスプレッドが広くなりやすい |
| アカウントタイプ / 取引条件 | Zero アカウントなどはスプレッドを抑える代わりに手数料を課す構造を採っていることがある |
| 時間帯 / 市場オープン・クローズ時 | 市場参加者が少ない時間はスプレッドが広がる傾向あり |
| 手数料との構造 | スプレッドを抑えた代替として、別途手数料(コミッション)を課すアカウント方式もある |
MT4/MT5 とウェブ上表示のスプレッド表示の違い
スプレッドを確認する際、プラットフォームと公式サイトで表示方法が異なることがある点にも注意が必要です。
- Exness のウェブサイトでは、スプレッドは「ピップス (pips)」で表示されます。
- 一方、MT4 や MT5 のプラットフォームでは、スプレッドは「ポイント(points)」として表示されることがあります。たとえば、スプレッドが 2 pips の場合、MT4/MT5 では「20 points」と表示されることがあります。
- したがって、ウェブサイトに表示されている “2 pips” のスプレッドが、プラットフォーム上では “20 points” と見えるという相違が生じます。これを理解しておかないと、「思ったよりスプレッドが高い/低い」と感じることがあります。
スプレッドを抑えるためのヒント
スプレッドコストを少しでも低く抑えるために有効な戦略をいくつか挙げておきます:
- 流動性が高い時間帯(ロンドン時間、ニューヨーク時間)に取引する
- ニュース発表直後など、ボラティリティが激しいタイミングを避ける
- メジャー通貨ペアを使う(例:EUR/USD、USD/JPY、GBP/USD など)
- Zero / Raw Spread アカウントを使う(手数料を払ってでもスプレッドを抑えたい場合)
- リミット注文を使う(成行注文よりもスリッページや見かけ上の広がりを抑えられる可能性あり)
- 高頻度トレードやスキャルピングをする場合はスプレッドの変動性を注視し、スプレッドが狭定で安定している時間帯に取引する
注意点・リスク
スプレッドに関して留意すべき点もいくつかあります:
- スプレッドは常に変動するため、過去の平均スプレッドがそのまま実際のコストになるわけではありません。
- 市場の急変時や流動性が低い時間帯では、スプレッドが大きく拡大することがあります。
- Zero/Raw スプレッド型アカウントはスプレッドが狭くても、別途コミッションがかかるため、総コストで比較する必要があります。
- スプレッド表示の単位(ピップス/ポイント)を誤解してしまうと、コスト感覚がズレる可能性があります。
- 通貨ペア以外、株式、仮想通貨、商品などではスプレッドが大きくなる可能性が高いため、これらを取引する際は事前に確認が必要です。
USD/JPY:口座タイプ別スプレッド目安
| 口座タイプ | スプレッド目安 / 特徴 | 備考・出典 |
|---|---|---|
| Standard(スタンダード) | 約 1.13 pips(平均) | FxVerify による標準口座スプレッド一覧で「USDJPY 1.13」などの記載あり。 |
| Pro(プロ) | “From 0.1 pips” | Exness の Pro 口座紹介に「Spread: From 0.1 pips」という記載あり。 |
| Zero / Raw / ECN 相当 | 0.0 pips(主要通貨ペアで “95% の時間帯”) | Exness は Zero アカウントで主要通貨に対して 0.0 pips を可能と説明しており、USD/JPY もその対象として扱われるケースあり。 |
| 実ライブ(すべてタイプ合算・平均) | 平均 0.5 ~ 1.1 pips | Investing.com の “USD/JPY スプレッド – Exness” 平均値 0.5 ~ 1.1 pips の範囲に記載あり。 |
補足・注意点
- Exness の公式情報では、USD/JPY を含む通貨ペアには「stable spread(安定スプレッド)」を提供している通貨が含まれており、通常は大きく変動しないように設計されているとの説明があります。
- ただし、スプレッドは流動性が低い時間帯や重要経済指標発表時には大きく広がることがあります。
- “Zero / Raw” 相当の口座でも、常に 0.0 pips が適用されるわけではなく、95% の時間帯など一定条件下で実現されるという説明が見られます。
- Pro 口座は「最小 0.1 pips から」という表記があり、Zero 口座よりはスプレッドがやや広いことを前提とした構成です
🎯 戦略①:スプレッド最狭口座タイプ+「短期スキャル/デイトレ」戦略
背景
Exnessでは口座タイプによってスプレッドの幅・手数料の有無が異なります。たとえば「ゼロ口座」「ロースプレッド口座」などは、スプレッドが極めて狭く設定されており、短期トレードに向いています。
また、同社の説明によると「スプレッドは取引開始時点での含み損となるコスト」なので、スプレッドが小さいほど有利です。
戦略内容
- 口座タイプ:スプレッドが最も狭いタイプ(ゼロ口座・ロースプレッド口座)を選択
- 売買スタイル:5~30分足などの短期足を用いたスキャルピング/デイトレード
- 通貨ペア選定:流動性が高くスプレッドが狭いメジャー通貨ペア(例:EUR/USD、USD/JPYなど)を中心に
- エントリー条件:
- 時間帯として流動性が高い時間(欧州時間開始~ニューヨーク時間)を狙う
- チャートでは明確な抵抗/支持の反発、または急なトレンド変化を狙う
- 損益設計:
- スプレッドコストが低いため、小さな利幅(例:数~十数pips)でも取りに行きやすい
- 損切をきちんと設定し、スプレッド拡大リスクや滑り(スリッページ)に備える
- 注意点:
- 短時間決済なので、取引回数=コスト回数も増えるため、スプレッド・手数料・滑りで利益を圧迫しないことが重要
- 流動性が低い時間帯や指標直前・直後はスプレッドが急拡大するリスクあり。Exness公式も「流動性が低い時間帯にはスプレッドが広がりやすい」と説明しています。
なぜ有効か
スプレッドが狭ければ、「含み損スタート」の距離が短くなり、損益分岐点に到達しやすくなります。特にスキャルピング・デイトレのように短期間・多数回トレードする戦略では、スプレッドの影響を小さくできる環境が大きなアドバンテージとなります。
🎯 戦略②:スプレッドが広がりやすい時間帯・状況を逆手に取る戦略
背景
スプレッドは常に一定ではなく、流動性が低い時間帯・ニュースや指標発表直後・休日明けなどではスプレッドが著しく拡大することがあります。Exnessもこの点を公式に説明しています。
たとえば、取引量が少ない早朝や、主要マーケットが閉じている時間帯、地政学リスクが高まった時など。
戦略内容
- 売買スタイル:レンジブレイク・中期保有型または指標後の大きな動きを狙う戦略
- 通貨ペア選定:スプレッドが通常狭いペアではなく、「スプレッド拡大が予想される状況」でも耐えられる設計をする。
- エントリー条件:
- 例えば、指標発表直前/直後にレンジ価格からの大きな抜け(ブレイクアウト)が発生した瞬間を狙う
- 抜けたあとの押し目・戻り目を待ってエントリー
- 損益設計:
- スプレッドが広がっていても、その後の値幅が十分取れるポイントをターゲットにする
- 損切りを少しゆったりと設定し、スプレッド拡大分を勘案して設計
- 注意点:
- スプレッドが広がっている=流動性が落ちていたり、相場が荒れていたりする可能性あり。滑り・ギャップ・急変動に備える必要あり
- 予想に反して値動きが鈍いと、スプレッド負担だけが残る可能性あり
なぜ有効か
スプレッドが狭い時間帯だけを狙うのではなく、「スプレッドが拡大してもあとで大きく動きそうな状況」を捉えることで、他のトレーダーが敬遠しがちな時間帯・シーンでも優位に立てる可能性があります。スプレッドが広がったとしても、動きの幅がそれを上回れば「実質的なコスト対効果」が取れる戦略になります。
📝 補足・共通注意点
- スプレッド=取引コストの一部です。特に頻繁にトレードを行う戦略では、「スプレッド+手数料(口座タイプなど)+滑り(スリッページ)」を 総コスト として考えておくべきです。
- Exnessでは口座タイプごとにスプレッド・手数料・レバレッジ条件が異なります。戦略を考えるときには「口座タイプとのマッチング」が重要です。
- 流動性が低い時間帯、ニュース発表前後、祝日明けなどではスプレッドが急に広がることがあります。それを回避するか、戦略に組み込むかをあらかじめ決めておくことが望ましいです。
- トレード前には必ず「リアルタイムのスプレッド」をチャートで確認し、「想定スプレッド+最大拡大時スプレッド」を想定に入れておくと、損切り・利確設計がブレにくくなります。
- どんな戦略でも「損切りルール」「ポジションサイズ管理」「資金管理」は必須です。スプレッドが有利でも、相場が逆行すれば損失となります。
Exnessのスプレッド Q&A
Q1. Exnessのスプレッドは固定ですか?変動ですか?
A1.
基本的に 変動スプレッド(Floating Spread) です。
市場の流動性やボラティリティによって広がったり狭まったりします。ただし、主要通貨ペアの一部には比較的安定したスプレッドを提供することもあります。
Q2. どのくらい狭いスプレッドで取引できますか?
A2.
アカウントタイプによって異なります。
- Standard口座:EUR/USD で平均約 1.0 pips 程度
- Pro口座:EUR/USD で 0.6 pips 程度まで狭くなる場合あり
- Zero/Raw Spread口座:0.0 pips が約 95% の時間帯で適用されることもある(ただし別途手数料あり)
Q3. Zeroスプレッド口座は本当に0.0pipsですか?
A3.
はい、特定の時間帯・銘柄で 0.0pips が提供されます。ただし:
- 常時0ではなく、市場状況によっては広がる
- 代わりに取引ごとに コミッション(手数料) が発生する
ため、総合コストとしてはスプレッド+手数料の合計で判断する必要があります。
Q4. スプレッドは時間帯によって変わりますか?
A4.
はい。
- ロンドン時間・ニューヨーク時間など流動性が高いとき → 狭い
- 市場オープン直後・終了直前、または経済指標発表時 → 広がりやすい
Q5. 通貨ペアごとにスプレッドは違いますか?
A5.
違います。
- メジャー通貨(EUR/USD, USD/JPY など) → 狭いスプレッド
- マイナーやエキゾチック通貨 → 広いスプレッド
- 仮想通貨・株価指数・商品(ゴールドなど) → 比較的広いスプレッド
Q6. MT4とMT5でスプレッド表示が違うのはなぜ?
A6.
MT4/MT5 ではスプレッドが ポイント(points) で表示されるため、サイト上の ピップス(pips) と単位が違って見えます。
例:サイトで「2 pips」と書かれていても、MT4/MT5 では「20 points」と表示されます。
Q7. ニュース時はスプレッドがどうなりますか?
A7.
大きな経済指標(雇用統計、FOMC など)の前後では、スプレッドが一時的に大きく拡大することがあります。特にスキャルピングをする場合は注意が必要です。
Q8. どの口座が一番スプレッドが狭いですか?
A8.
最も狭いのは Zero/Raw Spread口座 です。
ただし、手数料込みでの総コスト を考えると、取引スタイル(スキャルピング・長期保有)によって Pro 口座の方が有利になるケースもあります。
まとめ
- 基本は変動スプレッド(市場状況で広がる/狭まる)
- Standard口座:USD/JPY 約1.1pips前後(手数料なし)
- Pro口座:最小0.1pips〜(取引条件によって狭い)
- Zero/Raw口座:0.0pipsが95%の時間帯で可能(代わりに手数料あり)
- 注意点:時間帯・指標発表時に拡大、MT4/MT5では「ポイント」で表示されるので単位に注意
👉 まとめると、スプレッド重視なら Zero/Pro、分かりやすさ重視なら Standard が選びやすいです。








