「順張りトレンド追随+マルチタイムフレーム分析(Trend-Following with Multi-Timeframe Analysis)」は、
中級〜上級トレーダーの王道戦略であり、
“トレンド方向に沿って複数時間軸の一致を狙う”という、
最も確率の高いトレード手法の一つです。
以下では、
その理論構造 → 分析方法 → エントリー設計 → 管理・応用まで、
体系的に解説します。

🧩 ① 基本思想:「トレンドの流れに逆らわず、波の共鳴点を狙う」
市場は常に「階層的(マルチスケール)」に動いています。
1分足でもトレンドがあり、1時間足でも、日足でも波があります。
✅ 順張りの原則:
「上位足のトレンド方向に沿って、
下位足の波の転換(押し目・戻り)でエントリーする。」
つまり、
上位足は“流れ”を決める羅針盤
下位足は“タイミング”を取る計測機
のように使います。
⚙️ ② マルチタイムフレーム(MTF)構造の全体像
┌─────────────────────┐
│ 週足(Major Trend)│ ← 長期トレンド方向の確認
└───────────────┬───┘
↓
┌─────────────────────┐
│ 日足(Primary Trend)│ ← エントリー候補波の選定
└───────────────┬───┘
↓
┌─────────────────────┐
│ 4時間足・1時間足(Timing)│ ← タイミング最適化
└─────────────────────┘
**3階層分析(長期→中期→短期)**が基本構造です。
例えば:
- 週足:上昇トレンド
- 日足:押し目形成中
- 4時間足:反発サイン → ロングエントリー
この“階層の共鳴”が順張り戦略のコアです。
📊 ③ トレンド追随のための3指標軸
| 分類 | 使用指標 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 方向性軸 | EMA, SMA, Ichimoku | トレンド方向を定義 |
| 強度軸 | ADX, MACD, Momentum | トレンドの強さを測定 |
| 波動軸 | RSI, Stoch, CCI | 押し目/戻りを特定 |
これらを組み合わせることで「どの波に乗るべきか」が明確になります。
🧭 ④ トレンド定義(上位足)
上位足では「トレンドの方向」と「強度」を判断します。
✅ トレンド方向の定義例
上昇トレンド:EMA20>EMA50>EMA100\text{上昇トレンド}:EMA_{20} > EMA_{50} > EMA_{100}上昇トレンド:EMA20>EMA50>EMA100 下降トレンド:EMA20<EMA50<EMA100\text{下降トレンド}:EMA_{20} < EMA_{50} < EMA_{100}下降トレンド:EMA20<EMA50<EMA100
✅ トレンド強度(ADX)
ADX>25⇒トレンドが明確ADX > 25 \Rightarrow トレンドが明確ADX>25⇒トレンドが明確 ADX<20⇒レンジ状態ADX < 20 \Rightarrow レンジ状態ADX<20⇒レンジ状態
上位足で「上昇トレンド+ADX上昇」が確認されたら、
下位足でロング狙いの準備に入ります。
🎯 ⑤ エントリー(下位足:押し目・戻り狙い)
✅ 典型的ロング条件:
- 上位足(日足)で上昇トレンド確認(EMA20>50)
- 下位足(4H足)で一時的な押し(RSI<45)
- 下位足が反転(EMA10がEMA20を上抜け)
→ 成行 or 指値でロングエントリー。
✅ 損切:
- 直近安値割れ or ATR×1.5
✅ 利確:
- 前回高値+ATR×2〜3
- もしくは上位足EMA20割れで決済。
🧮 ⑥ マルチタイムフレーム・アライメントの数理的定義
時間軸ごとにトレンド方向を ±1 で定義:
| 時間軸 | トレンド方向 | 記号 |
|---|---|---|
| 長期 | 上昇 | +1 |
| 中期 | 上昇 | +1 |
| 短期 | 上昇 | +1 |
| (合計) | → +3 | ✅ 上昇アライメント |
同様に:
- 合計が −3 → 下降アライメント
- 混在(±混合) → 様子見
これにより、トレンド一致を「数値化」できます。
📈 ⑦ 順張りトレードの実践的構成(例)
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① トレンド方向の特定 | 日足EMA構造・ADX確認 |
| ② 押し目の特定 | RSI, CCI, フィボナッチ50% |
| ③ タイミング決定 | 4H足EMAクロス/MACD反転 |
| ④ ポジション構築 | 初期ロット+追随追加(分割) |
| ⑤ トレール管理 | EMA20 or ATRトレールで利確 |
📌 ポイント:
“押し目買い”や“戻り売り”も、結局は「上位足順張りの一部」です。
🔍 ⑧ ダイナミックポジション制御(ボラティリティ連動)
順張りでは、トレンドが伸びるほどポジションを増やす(ピラミッディング)が効果的です。
ただし、ボラティリティ連動型で制御することが重要です。 Lott=KATRt\text{Lot}_t = \frac{K}{ATR_t}Lott=ATRtK
- ATR上昇(荒い相場)→ ロット縮小
- ATR低下(滑らかなトレンド)→ ロット増加
これによりリスクを一定に保ちながら波を伸ばせます。
📉 ⑨ 逆行・反転時の撤退ルール
| 条件 | 動作 |
|---|---|
| 短期EMAが中期EMAを下抜け | 一部利確 |
| RSI > 70 or < 30 から反転 | 残ポジ調整 |
| 上位足トレンド転換(EMAクロス) | 全決済・再構築 |
“トレンド終焉の初動で降りる”のが鉄則です。
欲を出して粘ると大半を吐き出します。
🧠 ⑩ 実際のチャート構成例(BTC/USD)
| 時間軸 | 状況 | 行動 |
|---|---|---|
| 週足 | 長期上昇トレンド | 買い目線固定 |
| 日足 | 一時押し目(EMA20タッチ) | 監視・買い準備 |
| 4H足 | EMA10上抜け+RSI反転 | エントリー(順張り) |
| 1H足 | EMA20サポート確認 | 追撃追加 |
| 日足EMA20割れ | 利確・再構築 |
→ 階層がすべて上向きの瞬間にエントリーする。
これが「MTF順張り追随」の最強ポイント。
✅ ⑪ まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 戦略名 | 順張りトレンド追随+マルチタイムフレーム分析 |
| コア概念 | 上位足の方向に下位足で乗る |
| 主な指標 | EMA, ADX, RSI, ATR |
| 強み | 確率の高い相場局面のみ参入できる |
| 弱点 | トレンドレス相場ではダマシが増える |
| 改良方向 | ATR・ADXフィルタ/ピラミッディング制御 |






