TradersTrustのスプレッド拡大耐性付きスキャルピング+スリッページ対応型戦略

TradersTrustの「スプレッド拡大耐性付きスキャルピング+スリッページ対応型戦略」は、特に**高頻度取引(スキャルピング)**を行う際に、実運用での不利条件(=取引コストや約定のズレ)に強い手法設計を目指す考え方です。


以下で、構造・考え方・実装のポイントを詳しく整理します。


目次

🧭 基本コンセプト

スキャルピング戦略は、「小さな値幅を高い頻度で取る」手法です。
しかし現実の取引環境では次のような問題が発生します:

要素内容影響
スプレッド拡大重要ニュースや流動性低下時にスプレッドが通常より広がる利確幅よりも広がると損失化
スリッページ約定が希望価格からズレるエントリー/決済の誤差で勝率・損益率が低下
約定拒否・遅延高速スキャルではミリ秒単位の遅延が影響意図した価格で取引できない

これらを前提に「不利な環境でも耐えられるスキャル設計」を行うのが、
「スプレッド拡大耐性+スリッページ対応型」戦略です。


⚙️ 設計の基本思想

1️⃣ スプレッド拡大耐性

スプレッド変動に左右されにくい構造を作る方法:

  • ターゲット利幅をスプレッドの2〜3倍以上に設定
    → 例:通常スプレッド0.3pipsなら、最低でもTP(利確)幅は0.8〜1.0pips以上。
    → これにより一時的なスプレッド拡大(1pips前後)でも優位性を維持。
  • エントリー条件に「スプレッド制限」を導入 if spread <= 0.5 pips: enter_trade() else: skip() → 流動性低下時の誤エントリー防止。
  • ボラティリティ連動フィルター
    → ATR(Average True Range)や標準偏差で市場ノイズを検出。
    → 一定の「市場ノイズ>スプレッド」の状態でのみトレードを許可。

2️⃣ スリッページ対応

スリッページ(価格ズレ)を吸収するための手法:

  • 期待値にスリッページを織り込む
    過去データから「平均スリッページ値」を測定し、
    例えば +0.2pips のズレが常時発生するなら、
    期待利益からその分をマージンとして引いて評価。
  • リミット注文(limit order)の活用
    → 成行注文ではなく、逆指値 or 指値でのエントリーを利用。
    → 不利な約定を防止。
  • リクオート対応 or ECN/STP口座利用
    → 約定品質の高いブローカー選定も「戦略の一部」として重要。

💡 実装例(ロジックのイメージ)

以下はMT4/MT5やPythonでアルゴ化する場合の概念コードです。

# 擬似コード例(Python風)
if spread <= 0.5 and volatility > 1.5 * spread:
    if trend_confirmed():
        entry_price = current_bid
        slippage = measure_slippage()
        expected_profit = target_pips - (spread + slippage)
        if expected_profit > 0.5:  # 最低期待値条件
            open_trade()

このように、

  • スプレッド閾値(例:0.5pips)
  • スリッページ測定値(実約定との差)
  • ボラティリティ条件
    を組み合わせて「取引すべきかどうか」を動的に判断します。

📊 バックテストで重要な評価指標

指標意味注目ポイント
勝率利確比率スプレッド拡大時にどう変化するか
平均損益比平均TP / 平均SLスリッページを加味しても正の期待値か
平均スリッページ約定ズレの実測値実運用との差異を確認
実効スプレッド平均スプレッド+スリッページこれが想定以下であるか

🧠 実践的アドバイス

  • 経済指標発表前後は自動停止(スプレッド拡大リスク回避)
  • 低ボラティリティ時の取引抑制(ノイズ負け防止)
  • ECN環境+VPS+低遅延通信が前提
  • バックテストは「実スプレッド変動データ」で行うこと
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