MYFX Marketsの「FXのマルチ商品アービトラージ」や「クロスアセット・ヘッジ戦略」は、いわゆる裁定(Arbitrage)+相関取引(Cross-Asset Correlation Trading)に基づいた中上級者〜機関投資家向けの戦略です。
これらは、為替単体ではなく「他の市場(債券・株式・コモディティ・金利)」との相関を利用してリスク中立的に利益を狙うアプローチです。
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以下では体系的に説明します:
目次
🧩 概要:マルチ商品アービトラージとは?
**マルチ商品アービトラージ(Multi-Asset Arbitrage)とは、
FXを軸にして、他の金融商品(株式指数・金利先物・原油・金など)との価格関係のズレ(相関の歪み)**を利用して利益を狙う手法です。
基本構造は次の通り:
「相関が高いはずの2つの市場で、短期的に価格乖離が生じたら、その乖離が収束する方向にポジションを取る」
例:
- USD/JPY と 日経225先物(NK225)
- AUD/USD と 銅先物(Copper Futures)
- CAD/JPY と 原油(WTI Crude Oil)
- EUR/USD と ドイツ国債利回り(Bund Futures)
これらは**「実需・マクロ経済の結びつき」**が強く、相関性が比較的安定しています。
⚙️ 代表的な手法分類
| 戦略タイプ | 内容 | 主な指標・使う資産 |
|---|---|---|
| コモディティ連動型 | 資源国通貨と資源価格の連動を利用 | AUD/USD × 銅、CAD/JPY × 原油、NZD/USD × 乳製品指数 |
| 株式インデックス連動型 | 株式市場のリスクオン/オフと為替の連動を利用 | USD/JPY × 日経225、EUR/USD × DAX |
| 金利差アービトラージ | 債券・金利先物の動きから為替先行シグナルを取る | EUR/USD × 米独金利スプレッド |
| クロスアセット・ヘッジ型 | 為替ポジションのリスクを他資産でヘッジ | EUR/USDロング × DXYショート など |
📈 具体例①:CAD/JPY × 原油アービトラージ
背景
カナダは資源輸出国(特に原油)。
原油価格上昇 → CAD上昇傾向(資源収入増)
したがって、原油価格とCAD/JPYは正の相関を持ちやすい。
トレード構造
- 原油先物(WTI)価格の動きをモニタリング
- WTI上昇に対して、CAD/JPYが遅れて反応している場面を探す
- 乖離発生 → CAD/JPYロング、またはWTIショート(収束狙い)
分析指標
- 相関係数(Rolling ρ 30〜60日)
- Zスコア(価格乖離の統計的強度)
- ベータ値(WTI → CAD/JPY感応度)
📊 具体例②:USD/JPY × 日経225先物クロスアセット・ヘッジ
背景
リスクオン時:株高+円安(USD/JPY上昇)
リスクオフ時:株安+円高(USD/JPY下落)
→ 相関が非常に高い(短期で0.7〜0.9)
トレード構造
- USD/JPYのロングを取りつつ、同時に日経225ショート(またはロング)でヘッジ。
- 目的は「為替の方向性を維持しながら、株式市場のボラティリティリスクを軽減」すること。
実践例
- USD/JPYロング × NK225ショート(リスクオフ対策)
- 株急落局面ではNK225ショートが利益を出し、円高損失を補う。
💡 クロスアセット・ヘッジの応用構造
| FXペア | ヘッジ対象 | 相関傾向 | 目的 |
|---|---|---|---|
| USD/JPY | 日経225先物 | 正 | 株式ボラ抑制 |
| EUR/USD | DAX or EuroStoxx50 | 正 | 欧州リスクヘッジ |
| AUD/USD | 銅先物 or S&P500 | 正 | コモディティリスクヘッジ |
| GBP/USD | 英債利回り | 正 or 負 | 金利ショック対策 |
| USD/CHF | 金価格 | 負 | リスクオフ耐性強化 |
🧮 モデル化と実装アプローチ
- 相関モデル構築
- 主要資産間の相関係数を定期的に算出
- 例:
ρ(AUD/USD, Copper Futures)> 0.8 のときのみ有効
- 乖離検出
- 移動回帰(Rolling Regression)で残差を算出
- 残差のZスコアが ±2σ を超えたらエントリー
- 収束で決済(Zが0付近に戻る)
- リスク調整
- 片側ロットサイズを「ベータ比」で調整
例:CAD/JPY β = 0.75 WTI β = 1.0 → CAD/JPYロット = WTI × 0.75
- 片側ロットサイズを「ベータ比」で調整
- スプレッド・資金効率管理
- CFD・先物間の価格差・金利コスト(スワップ)を考慮。
- マルチアセットは証拠金管理が重要。
⚠️ リスクと注意点
| リスク | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 相関崩壊リスク | 地政学・金融政策で関係性が一時的に壊れる | 定期的に相関再計算・Zスコア閾値を動的調整 |
| 流動性リスク | 夜間・休日などに一方の市場が薄い | ロンドン〜NY時間を中心に運用 |
| 執行タイムラグ | 2市場の価格取得や発注に差が出る | API・自動取引で同時実行 |
| 金利コスト | 両建て時のスワップ差・レバレッジ負担 | スワップフリー口座・短期決済 |
🧠 戦略の本質まとめ
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 戦略目的 | 異市場間の一時的な価格歪みを収益化 |
| 主要武器 | 相関分析・ベータ分析・Zスコア判定 |
| タイムフレーム | 分〜数日(短期ペアトレード〜中期ヘッジ) |
| 理想環境 | 高流動性・統計的関係が安定している通貨ペア |
| 成功の鍵 | 自動化・統計的監視・リスクバランス調整 |

